痛々しいは素晴らしい
基本みんな中二病
学生の頃マンガを読んでいたとき、現実もこんなだったらいいのになと思いませんでしたか。そして大人になってみると学生って素晴らしいよな。と学生時代を美化して嫌だったことより楽しかったことばかりが思い出されます。大人が描く学生生活はそりゃ夢見がちにもなるものです。ところが実際はというとはえぐい人間関係とか色々嫌なことのが多かったりしますが、忘れてはならないのは若きゆえに生じていた自意識過剰の痛々しいノリや、夢抱いたありえない都合のよすぎる恋愛妄想。誰もが持っている忘れさせてほしい思い出を今作はギュギュっと詰めてきました。心が激しくえぐられます。こいつらほどひどくなかったよ!と思えるような青春を過ごせた人はこの作品ははまらないかもしれません。普通に彼氏彼女がいてアニメやラノベなんか興味もなかった。なんて人はそれ程共感できるジャンルの気恥ずかしさはそもそも経験がないでしょうから。この作品にどっぷりはまれるのは見てて恥ずかしくなるような過去がある方です。そこらにあふれかえっているような恋愛ドラマとはちょいと違うのです。なぜなら登場人物は闇の炎に抱かれて消えろが口癖の主人公富樫勇太くんを筆頭に痛々しい人たちばかり。私はこいつだったと感情移入できるようにでもしてあるのかというほど各自の特徴が特化していて個性豊かです。
アニメを作っているのは京アニ。けいおん!やCLANNADなど超人気作で名高いですね。とにかく絵がきれいです。それと声優さんが豪華です。基本恥ずかしいセリフが多いですがすごくかっこいい・可愛らしいプロの声でも聴いててこっちが恥ずかしくなるのだから一般人の痛い発言て本当に痛いんだなと実感します。
邪王真眼
邪王真眼て変換するのが大変です。かえって手間がかかるような難しい漢字を好んだり無口無表情がかっこいいと思ったり炎だの電気だの水だのがつかえたらいいなとは誰もが通る道ですよね。通る道だと思います。ヒロインの小鳥遊六花ちゃんなんてパッと見るとなんて読むのかわからない素敵な名前を持っています。それだけで満足はできなかったのか。丹生谷 森夏ちゃんは高校生デビューを図るものの失敗するという、そこはかとなくリアルな役回りです。高校生は元々いた中学の話題をすることが多かったので息苦しかった人は多かったことでしょう。一色 誠くんはいちいち取る行動が三枚目で変態じみていますが、これくらいがむしろ一般的というべきでしょう。みんな一皮むけば異性への興味でいっぱいだというのは思春期であれば当然のことであり、他のキャラはいささか純粋すぎるように思われます。ですが中二病というのは中学生が本来メインの病気なので高校生の土台にも上り切れていないという意味ではたしかにリアルではあります。高校生ってこんなウブだっただろうか。
小説が原作なのはもちろんですがアニメにしか出てこない五月七日 くみんちゃんと凸守 早苗ちゃん、六花の姉小鳥遊 十花さんがとても印象深いです。小説読んだことのないひとはアニメにしか出てこないなんて思わないくらいの登場回数です。この三人なしでも話は進むのか。疑問が生じます。やはりモリサマーは凸守早苗ちゃんがいて引き立ちますからね。えぐえぐ泣くかんじが愛らしくて素敵でした。成績がいいっていうのもすごく納得ができます。どことなく品があるというか、育ちがよさそうです。地頭が抜群なほど頭がおかしいのは現実でもよくあることです。くみんちゃんはいてもいなくても大差ないのかな?マイ枕を抱いて眠そうに画面の端にいるだけでも空気が和んで好きなんですけどね。よく考えるとたいしたことしてないのにそれだけで存在理由になるなんて羨ましい立ち位置です。十花さんは子どもたちの前でお姉さんぶる役割を果たしていますがこの人もこの人で何か色々おかしいところがある気がします。常識ぶってるだけで。でなければいい年した二十歳前後の女性が年齢の離れた他人様のお子さんにおたまなんて振り回しません。妄想の戦闘画面では一番ぶっ飛んでいるのは間違いなくこの人が勝つからであり、相手が全員中二病なのでその色眼鏡が通されているからですが本人は中二病じゃないだけに頭おかしいです。悪い人じゃないんですけどね。
華麗な映像、真髄
バトルシーンがかっこいいです。ほとんど妄想なのは言うまでもないですが、華麗な技術に圧倒されます。ほうきやおたまをふりまわすだけでこんな演出を思い描いていた人にとっては頭が痛くなる案件です。しかしこの技術と豪華な声優と、中学生みたいな妄想じゃなくてもっと別の表現に使ったらなんて的外れなことを言った人はもうこの作品の魅力に取りつかれていると思います。なぜならばかばかしいただの学生の妄想だと思わせることそれ自体がこの作品の真髄だと私は考えているからです。ばかばかしいと放つことで、この作品は終わってしまいます。くだらない妄想でいちいち楽しんで苦しんで一喜一憂できるのは若者の特権であり、美しいことなのです。妄想をしなくなる、ではなく本来はできなくなるといういうべきなのが我々の真実なのですから。
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