その想いは錬金術に非ず - 鋼の錬金術師の感想

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その想いは錬金術に非ず

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

重過ぎる想い

この原作者は何を訴えたくて、この作品を描いたのでしょうね。少年誌とは思えない重いメッセージがストーリーの根幹にありますよね。亡くなった方を生き返らせるという倫理観を非常にリアルに描いていることに、背筋をゾォ〜とさせるものがあります。

例えばドラゴンボールなんて、あっさりと死んだ人間がパッと生き返ってしまうので、両作品のギャップを考えると笑えてくるものがあります。

そして主人公であるエドと、その弟のアルが背負ってるものが、少年誌やアニメに据えるテーマとして重過ぎるように思います。

また画風は、少年誌原作であることが頷けるもので、柔らかく暖かなイメージをもてます。それが重く据えられたテーマと、絵のタッチがミスマッチしているのが印象的なアニメ作品に思えます。

しかし重いテーマが据えられていることで、一気に物語に引き込まれるものがあります。

何故に、原作者はこんな重い想いをテーマに据えたのでしょうね。

決して、物語に引き込むために、こんなテーマを据えたわけではないと思います。また人間を食べるホムンクルスの存在などや、傷の男スカーの存在もグロテスクでありながら、人間の命の重さを考えさせられます。

しかし重いテーマが据えられている為、登場人物の生き死にに敏感に反応させられたように思います。一般的にアニメの中で、登場人物が死んでしまう時、悲しい気分になったり、逆に悪役の場合はスカッとすることもあると思うんです。

しかし人間の命の重さを考えさせられたり、リアルに感じることはそんなにないんです。

これがこの作品の特徴的だと思います。

頭が切れるが純粋な主人公

12歳で国家錬金術士となるという凄い偉業を成し遂げているのですが、それが大きく描かれることはないです。作品の中で、大前提の主人公のステータスとして描かれていることも凄いことですよね。当然に強いし、頭もメチャクチャ良いです。しかしこの主人公の魅力は、子どもゆえに純粋です。このミスマッチな部分が主人公エドの魅力なのでしょうね。

もっとも恐怖を覚えるキャラクター

観る方によって、人それぞれ違うでしょうね。色んな個性をもった登場人物がいます。敵ではなくても、ゾォッとさせてくれる登場人物もいたように思います。

貴方にとっては誰なんでしょうか。聞いてみたいです。私にとって、最恐と思えるのは、ベタかもしれません。

それは...グラトニーなんです。

ホルンクルスの中で、「暴食」の名前をもつキャラクターです。見た目は、きっと癒し系にも映ると思うのです。

シレッとした顔して、生きた人間を断末魔とともに食べる様子が、背筋に冷や汗が流れたことが記憶に残っています。

申し訳ないですが、これはけっこう多数派の意見のような気がしますね。

でもあの顔で、悪意など感じられずに満面の笑みで無邪気に、断末魔を叫ぶ人間をバリバリ食べる描写に恐怖を感じませんでしたか?私はトラウマに残るほど、恐ろしさを感じました。

トップクラスの好感度!

私自身がとても好きなのは、主人公エドの弟アルです。

確か視聴者や原作の読者の中でも、人気が非常に高かったようですね。ドラゴンクエストでいうと、「さまようよろい」みたいです。中身は空っぽの大きな鉄の鎧という様相が、これまでのアニメや空想世界の中でも、なかなか類をみないキャラクターではないでしょうか。

また兄のエドは、身長が低いこともあり、弟アルの大きさが妙にチグハグに感じる部分で、ジワジワくる面白さがあるように感じます。

そして、見た目と違って、癒し系な性格で優しく、とても兄想いであることも、そのギャップが魅力的に感じますね。

実は、主人公のエドもそうですし、この作品の登場人物のほとんどが、何かしら見た目と中身のギャップを感じさせるものがあるように思います。

これはキャラクター構成をするときに、原作者が意図的に仕掛けているものではないでしょうか。

見返した時に、それぞれの登場人物のギャップ、意外性という部分に着目してみて下さい。きっとそれぞれのキャラクターに用意されている、と思いますよ。

鋼の錬金術士というタイトル

どのような想いを込めて、原作者はこのタイトルを考えたのでしょうか。錬金術というものは、どちらかというと魔法に近い描き方ですよね。その中で、単純な魔法とは異なる部分は「等価交換の法則」といえるでしょうか。

単純に魔法としなかったことで、物語の展開に、制限が発生してきます。しかしその制限が、逆に物語の展開に面白さを加えているように感じます。単純な魔法としなかったことは、この原作者のセンスがキラリと光る部分ですよね。

物語の展開からすると、正しくは「錬命術」といった表記のほうが正しい気がします。冒頭でも触れましたが、なぜ、こんな重いテーマを掲げたのでしょうね。

子どもながらに、母親を求めて旅する姿は「母をたずねて三千里」を思い浮かべてしまいます。生命の重さや、錬金術の要素、少年受けしそうなバトル要素など、全然違いますけどね。しかし物語の根底部分にあるのは子ども心に母親の存在や、その愛情を求める純粋な子どもの心情が表現されている気がします。

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主人公エドの魅力

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3.53.5
  • ちびまるママちびまるママ
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やっと納得のいく結末で終われた鋼の錬金術師

この作品については、2度アニメ化されている。1度目は、まだ連載が中頃であった為に、アニメが原作に追いついて、クール数の問題があった為に、とんでもない結末で無理やり終了のなってしまった。アルとエドが別次元で生きていくという結末では、この作品ファンは納得しなかったはずである。他作品でも、アニメが原作を追い抜かすことは多々あり、時間稼ぎをするケースはあるのだが、この作品については、時間稼ぎをするエピソードがなく、無理に入れると世界観が変わってしまうので、無理やり終了しか方法がなかった。2009年に再度アニメ化され、ほぼ原作どおりにアニメ化されたが、こちらの方が、原作者の思いが強く反映されているし、丁度最終話に近づいていたので、グッドタイミングだったと感じる。まず、一回目のアニメ化は、監督のコメントによると「一人の少年の成長記録的作品」とされていた。いやいや、原作はそんな事を言いたかったのではない。...この感想を読む

5.05.0
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