娼年という禁断の魅力 - 娼年の感想

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娼年

4.334.33
文章力
4.50
ストーリー
4.17
キャラクター
4.33
設定
4.67
演出
4.33
感想数
3
読んだ人
10

娼年という禁断の魅力

5.05.0
文章力
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
5.0

最初は気だるい夜のバーから始まる。20歳という大人のか子供なのかわからない年齢に差し掛かり全てに退屈してしまったリョウは御堂静香という母親と同じ年頃の女性と出会う。リョウは女性に対してこの時はまだ潔癖症だ。女を体では知っているが、楽しめない自分にも幻滅しているのがよく分かる。筆者の文体は女性でもおどろく程丹念に書かれているため、服装、行動、言葉の使い方からそのキャラクターの性質がよくわかる。「これ以上澄んだミネラルウォーターさえ乾けば汚れを残していく」リョウのこの視点から潔癖症で、繊細な一面が見えて取れる。御堂静香はリョウの本能と隠れた才能を見抜き、リョウを誘い出す「あなたのセックスの値段を知りたくない?」しかし、長く繰り広げられた予想を裏切り、ベッドで御堂静香は少女を差し出す。「あなたが相手をするのはこの子よ」リョウは戸惑いながら少女を抱くが、ここでも筆者の文才が際立つ過去の経験のフラッシュバックと事細かに描写されるセックスの様子は、読んでいて興奮を抑えられない。リョウは値段を付けられなんとか御堂静香の採点に合格する。彼女は男の男娼を紹介する会社の社長だった。リョウは娼年の世界に魅力を感じ、自ら溺れていきながらその才能を開花させていく。女性は退屈なものではなく愛すべき存在であることにも気づき始める。紹介される女性は様々だが、特別な性癖を持つ女が多い。中年男性に鑑賞させる女、既婚者、放尿を見てもらう事で興奮する女性、老婆、しかし、その全てが愛おしく思える。セックスとは子供に返っていく瞬間そのものなのかもしれない。娼年の中にアズマという特殊な性の特徴を持つ男も出てくる。アズマは簡単に言えばマゾヒストだが、その奥深いキャラクターは主人公のリョウをも魅了していく。「僕は回線がこんがらがっているんだ…」アズマは自分の性癖に戸惑いながらもそれに逆らえない。リョウの同級生のメグミの密告を皮切りに会社はどんどん追い込まれていくが、その過程でリョウの死んだ母親の素性が明らかになる。そして、何故リョウが女に退屈してしまったのか、潔癖になっていたのかがわかる。それを楽しんで頂きたい。

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