槇村さとるに珍しい料理物
バレエやファッション関係の漫画を数多く描いている、槇村さとるの珍しい料理物。作中に登場する料理はメインがフランス料理で、ちょっと料理が得意なくらいではわからないほどの書き込みがされている。同作者のドゥダダンシンを見ても思うが作者の各業界への取材力に圧倒される。中でも作中で主人公がほれこむ幻のコンソメスープの作り方を公開するシーンは、本格的なコンソメスープにはこんなにも時間がかかる食の芸術品なのだと教えられた。男女の複雑な恋愛関係と槇村らしい倒れても倒れてもまたすぐに這い上がるヒロインが可愛らしい。読んでいるこっちがおなかがすくほどおいしそうな料理がたくさん出てくるのも槇村の表現力の高さがわかる。漫画からドラマになることが当時いまほど多くなかった時代に話題になったドラマの一つでもある、のちにイマジンも槇村原作でドラマになるなど女性ならではの社会進出と恋愛についての漫画を描かせたらおそらく日本では五本の指に入るだろう。唯一難点を言うなら、衣装や小道具、料理などの書き込みがとても繊細で上手いが女性キャラのキャラデザ特にヒロインの書き方があまり区別ないところが難点。老人老婆などの書き方はしわの書き方や背の曲がった感じがとても哀愁漂うキャラに仕上がっているだけに少々残念。
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