ポップに描く恋愛妄想コメディ
コミカルな恋愛妄想が面白い
松ジュン演じる、一途で純粋な主人公「小動 爽太」の
恋焦がれる「紗絵子」への妄想と心情の独白を軸にからめながら
展開されていくドラマ。
この、「爽太」というキャラが
なんというか、不器用でかわいい。
思い込みも激しく、もやもやうじうじしてハッキリしない、
かと思えば、こうだ!と思えばわき目もふらずに一直線!!
決してスマートではないし、 見ていて滑稽なんだけど、
どこか憎めないし、どこかキラリと光るものもあるし、
とても魅力的な青年だ。
そしてそれを、松ジュンが好演してる。
いろんな役柄を演じる松ジュンだけど、
この役もぴったりだと思った。
普段セクシーでデキるタイプの男性が
ちょっぴり情けない役をやってくれると
母性本能が刺激される、のかもしれない。
とにかく、「爽太」の発想が、 いちいちどこか的外れ、なんだ。
そこがオモシロイんだけど。
例えば、紗絵子を振り向かせるために、
「俺は悪い男になる!」
と決めて、悪い男ならどう行動するか、ということを 実践したり、
はたまた、
「俺は失恋することにする!」
と決めて、わざわざ「失恋するために」告白したり・・。
当然ながら空回りするし、
肝心の紗絵子の気持ちにはなかなか気づけないし、
本人は猛烈にまじめで真剣だけど
はたから見てたら、悪いけど、滑稽、 でもそこが面白いし、いじらしい。
実際身近にいたら、どうかなあ・・・。
案外・・・好きになってしまうかも(笑)
恋愛セオリーについて
いわゆる「恋愛セオリー」とか「恋愛理論」とか、
そういうものにはほぼ興味のない私なので、
その発想が逆にとても新鮮だったりする。
こういうタイプにはこう迫ろう、とか
こういう性格にはこうアプローチを、とか
もっとベタなところで、「恋の駆け引き」とか。
そういう「型」とか「作戦」みたいなことが
ことごとく向いてないので
正直したことないし、お世話になったことがない。
その代わり、馬鹿みたいに真っ正直に
玉砕覚悟でぶつかっていくから 、見事砕け散ることも多々。
そういう意味では、私もかなり不器用だと思うけども。
だから、ドラマとはいえ、「爽太」の発想には
「ええええ!!」
と、終始驚くばかりだった。
ところで、巷でよく見かける
そういう「恋愛術」とか「恋愛攻略方」的なものって、
見てても「それ、当てはまらないと思うけど」
と思うことが多いんだけど、
実際に「上手くいった!!」という人はどれくらいいるんだろう?
って、いつも思う。
それらが存在してる、ってことは
一定数は「上手くいった!!」って思う人がいる、
ってことなのか。。
いやほんとに、人それぞれだから どーでもいいんだけども、
逆に、方法論を採用するのって、しんどくないのかなあ?と、
ふと、思ってしまう。
相手に気に入られるために
自分の行動や色々を変えたり、
何かになろうとしたり、
意図的に作戦を練ったり、するわけでしょう?
結局「爽太」も、あれこれ策を弄するんだけど、
ことごとく「紗絵子」の本意からはズレてて
逆にすれ違いを生んだり、空回ったり、してたんだけど。
何かの型とかパターンを追っていると、
相手そのものが見えてないよね。
もっと言えば、自分自身がどこにもいないよね。
自分を見失ってて相手も見えてなかったら
一体何と、誰と、恋愛してるの?
って状態なんじゃないかなあ、と、思うんだけど。。
まあでも、恋愛って、不器用にならざるをえないし
いろんな体験をしながら、酸いも甘いも味わっていくのが
恋愛の醍醐味なんだろうとは思うし
私もえらそうなことはまったく言えないんだけど。
でも最終的には、
何の策も弄さない「素の自分」でいることで成立する相手との 紡ぎ合いが、
一番幸せなんじゃないかなあ・・・なんて
このドラマを見ながら改めて思うのでした。
主婦という在り方
ドラマの中で、「専業主婦」の在り方について
描かれてるシーンがあったんだけど、
これがもう、見ながらムカムカしてしまって(笑)
「紗絵子」は専業主婦になったんだけど、
夫がいわゆる亭主関白で、
妻が自由に働くことや友だちと会うことも一切許さず
家に縛り付けておくタイプ。
「俺が食わせてやってるだろ」
という、アレ。
当然そういう不自由な生活に
紗絵子は不満がどんどん溜まっていって
実の母に相談するんだけど、これまた母の言い分にクラクラ。。
「吉岡さん(旦那のこと)は良い旦那さんだと思うわよ。
大手出版社の副編集長で、お姑さんはもう亡くなってて、
お舅さんはお兄さん夫婦が引き取ってくださって。
そんな最高の旦那さんがご機嫌よくいられるようにふるまうくらい何よ。
それこそ、あんたの仕事でしょ。」
と。
もうこのシーンに、私は卒倒しそうになった。
私の中にはまずない発想だし、
私個人的にはそういう発想が一番ニガテ、だからなんだけど。
「それが専業主婦の仕事」って・・・
お母さん自身が言ってるんだ・・・。
私も過去に専業主婦だった時期があったけど
こういう専業主婦ではなかったなあ。
けど、このお母さんのような発想の人って
世の中にどれくらいいるんだろう?
このシーンで個人的にすごく違和感を感じたのは、
「最高の旦那」と評する理由が、
仕事の肩書や、お姑さんお舅さんの状況、っていう
ようは「条件」であって、 その人の「人柄」じゃない、ってところ。
う~~~ん。
私はどうしても「条件」では選べないので、
その感覚がよく分からない。
「旦那」という「立場」から「個人」を見るのではなく、
「旦那」という「個人」が先、「立場」は後、なので。
○○という個人に惹かれ結婚したら、
その人は「旦那」という立場になった、
というだけで、先に「旦那」があったわけじゃ、ない。
言葉にすると屁理屈みたいだけど。
けど、世間では、 肩書とか条件で結婚相手を選ぶ、ということは
結構普通にあるじゃないですか。
この辺の話題が出るたびに、
「幸せ」のカタチって、ホントに人それぞれだなあ。。
と思うのでした。
様々な恋愛事情をポップに描く
このドラマでは、それぞれの登場人物たちの
いろんな恋愛のカタチがたくさん描かれている。
片思い、夫婦関係、ふたまた、セックスフレンド、ゲイ・・・。
男と女の事情や、恋愛のカタチって、
ホントに色々、たくさんあるなあ、と思う。
そして人それぞれ違う価値観がからめば
そのカタチに対する思い方も様々で
私たちの日常のあらゆるトラブルや事件のタネの
大半が恋愛がらみなんじゃないか、と思うほど。
それだけ、私たちの「生きる」に直結してるから
恋愛ってのは、奥深いし、味わい深いのだろう。
そんな様々な恋愛事情が、全編を通して
とてもポップに描かれていて
その軽やかで、どこかおしゃれな空気感が好きなドラマでした。
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