現実から離れて、空想の世界へ
宮沢賢治の短編を集めた小説。童話17編を収録。
異世界に連れていってくれる素晴らしい小説だ。シュールで切ないストーリー、そして一風変わった登場人物たち…宮沢賢治の世界を堪能できる素晴らしい小説だ。
登場人物名や地名のつけ方からしても明治の日本人が書いたとは思えない世界。宮沢賢治の心には一体どんな景色が見えていたのだろう、と考えさせられてしまう。
文章は、時代が古いこともあり、やや読み進めにくいが、一つ一つが短い話であるのと、独特の世界観に慣れてしまえば、問題なく読めるだろう。
注目は「銀河鉄道(初期形第三次稿)」。実は宮沢賢治は「銀河鉄道」の原稿ができてから、3度にわたって、手直しを加えている。ここに収録されている銀河鉄道は、おそらく多くの人が知っている話とは少し異なる。ブルカニロ博士が登場するのが特徴だ。またジョバンニとカムパネルラの関係性も少し異なる。とはいえ、銀河鉄道の不思議で切ない独特の世界観は健在。読めば目の前に夜空のきらめきが浮かび、まるでプラネタリウムを見ているかのような世界に引き込まれること間違いなしだ。空想の世界に遊びに行ける。
仕事や日常に疲れたとき、心を癒してくれる小説といえる。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)