キャラクターで楽しめる
ラスト33巻まで読んで、不満を感じるのは紅麗の心情表現がもう少しあれば・・・というところである。
ラストバトルで、烈火が柳を炎に変える時まで紅麗は天堂地獄を押さえる 手助けをするが、烈火が決断するまでに紅麗がどのような心境の変化があって、手助けしたのかをもう少し丁寧に書いて欲しかった。
雷覇によってお母さんを助けられた事や音遠と通じることで変化が起きた事はわかるが、ひとりで天堂地獄を相手にしながら、烈火に決断させるべく言葉を投げかけるまでには、もっともっと心境の変化があったハズなので、そこが不満。
烈火や紅麗のつけている炎を押さえる封印についても、描写が少なかったと思う。森の屋敷で柳がさらわれた時に炎の制御ができず外さない封印という流れから、バトルを繰り返し天堂地獄 を押さえる時も封印には触れなかった。烈火の精神や体力が成長し、封印を解いても火竜を扱えるという流れになるのかと思ったが、そうではなかった。
ラストは手甲はなくなり火影も終わりであっけなく、封印の事にはほぼ触れずに終わったためモヤモヤが残る。
ストーリーに不満点は残るものの、キャラクターは確立出来ていると思う。
1巻と33巻を見ると一目瞭然だが絵のクオリティがまったく違う。
初めの頃こそ、絵が稚拙な印象を与えるが巻を重ねるにつれて絵は良くなり、またキャラクターの個性が目立つようになった。
柳も学校ではおとなしくて何も出来ない友達のいないお嬢様から、友達もすぐできる明るい性格おとぼけキャラを確立している。初めは敵の小金井と水鏡も内に秘めた思いは隠しつつ、明るい部分のあるキャラクター設定が確立したことで裏の顔はありつつも火影と一員としての友達感覚な感情が読み取れる部分が面白い。
全体的に、武道会や敵を倒しながら成長していく少年少女の話なので、良くあるパターンと言えなくはないが、背景にあるものが400年も昔の忍者でタイムスリップしているなど独特な世界観もあり、楽しめる話である。
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