余韻好きは必見 - もらとりあむタマ子の感想

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もらとりあむタマ子

4.004.00
映像
3.50
脚本
3.75
キャスト
4.00
音楽
3.00
演出
3.75
感想数
2
観た人
2

余韻好きは必見

5.05.0
映像
5.0
脚本
4.5
キャスト
5.0
音楽
4.0
演出
4.5

山下監督前作の『苦役列車』で前田敦子さんを好きになって他の作品を探していたら『もらとりあむタマ子』に辿り着きました。山下敦弘×前田敦子は本当にピッタリですね。

この映画は全編前田敦子さんの映画ですがグータラニートなタマ子を見事に演じています。そして限りなく素に近いと思わされます。「もしかして前田敦子ってこんな感じの人…?」と疑わせるくらいの自然さ。

前作の『苦役列車』でも思いましたが前田敦子さんの良さは演技の上手い下手ではなく本当にそこにいると思わせる新鮮さと自然さであると思います。前田敦子とタマ子が二人で一人のような感じがして、「こんな子いる」「自分もこんな時期あった」と自然と口から出てしまう。そう視聴者側に思わせ役者さんはあまりいないと思います。

途中でタマ子がアイドルを目指す話がありましたがトップアイドルである「あっちゃん」がやっているのにも関わらずそれが嫌味に感じない、というのは視聴者の中で前田敦子さんとタマ子が完全に一緒になっているからでしょう。しかし募集用の写真のあの笑顔は正しくアイドルの「あっちゃん」でした。このように、たまにタマ子しではなくあっちゃんが出てくるところも妙にリアルで面白いところだったと思います。

映画自体は70分程度で非常に短いですが四季折々父と娘の関係が描かれていてとても暖かいホームコメディになっていました。起承転結がハッキリしていてわかりやすい展開が好きな人は小さな変化などわかりにくくて合わないかも知れませんが、ちょっとした変化や工夫、温まる余韻、そういったものが好きな人は絶対に好きになる映画だと思います。

また、前田敦子さんはもちろんほかの役者さんもとても良い味を出していてこの映画をより素晴らしいものに仕上げていました。お父さんはついつい娘に甘くなってしまったり、タマ子が勝手に子分と思ってる近所の中学生のリアルな成長だったりと、現実味があって、「あるある、こういうの」と思わず言ってしまう感じがとても良かったです。

最後に、この映画のラストは観る人によっては「え?そこで終わるの?」となってしまうかもしれませんが、繰り返すように「余韻」が好きな人にはとても良いラストだと思います。私は、漫画で言うとあだち充作品のような、余韻を残すラストが大好きなのでまさにこの映画は私好みの映画でした。

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単純に物語を観よ

ただただ娘と父親の物語「もらとりあむタマ子」というタイトルからさぞエキサイティングな少女が現れて、おかしなことを起こしていくのかと考えたり、あのAKBの前田敦子主演映画ということからかなりのドラマがあるのかと大きな期待をして観ると、なーんだこの話、という具合につまらないなと思ってしまう。しかし、タイトルの概念も前田敦子というのも引っぺがして、ただ娘と父親との物語として観ると、タンタンと素朴だけれども1年間のこの親子の記録はどこかほっこりするものがある。すべて余計な情報を取っ払って観れば、冬に自販機で缶コーヒーを買って飲むぐらいの温かい気持ちになれる映画であった。1年間の記録の中で、二つほど気に入ったエピソードがある。まず、タマ子が就職活動を開始したと言い、それに喜んだ父親がいそいそと高い時計を買ってきてしまうが、本当はタマ子は芸能オーディションを受ける気だったために時計は重荷で、返してきて...この感想を読む

3.03.0
  • masanosukemasanosuke
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