王道の恋愛ものかと思いきや。 - Summer Snowの感想

KinKi Kidsの堂本剛を主演に、広末涼子、小栗旬、池脇千鶴など、今も第一線で活躍する俳優達の若さ溢れる作品。

堂本剛演じる夏生と、広末涼子演じるユキの恋愛を中心に描かれるが、ユキの心臓病や弟の聴覚障害、妹の妊娠などふたりに起こる出来事がこのドラマを盛り上げている。

穏やかに進んでいく夏生とユキの恋愛は、このままどうか幸せであってほしいと思わせる。両親を亡くしまだ学生の弟たちの面倒を見る夏生、心臓病を抱え、いつ発作が起こるかわからないユキ。互いが互いを大事に想うがゆえの優しさ。愛しいと思うふたりの時間。それらを感じられるからこそ、終盤に起こる展開を、素直には受け入れがたい。共に生きていけるとしても、生きている彼はそこにはいない…。

タイトルの「Summer Snow」。夏の雪。

これが夏生とユキ、そして夏生と弟の純を繋ぐ大事なキーワード。

ただの趣味ではない、夏生がスキューバダイビングを始めた理由や、海の中のサマースノーを見たいという夢。

一見すると、弟の聴覚障害や妹の妊娠など、夏生の周りに次々と起こる出来事が印象的であるため、それを、まっすぐな心の持ち主の夏生が中心となって乗り越えるというようなヒューマンドラマにも見える。

だが、夏の雪を見たいという夏生の夢が、ユキの願いになり、スキューバダイビングを始めた理由が純の支えになり、そこに夏生の愛、夏生への愛が感じられる。

恋愛、家族愛、周りへの愛。

ハッピーエンドではないが、最後まで愛を感じられるドラマである。

最後にこの作品は、堂本剛主演作では抜群の、周りにも薦めたい作品ではあるが、主題歌のKinKi Kids「夏の王様」、これはこのドラマには合わないテンポのいい曲で、毎回しんみりとした気分で終わらせてくれないのが勿体ない、と思った視聴者が多かったであろうと推測する。