一度見たら頭から離れ無い作品
ブリキの太鼓なんて映画は今の20代の人はほとんど知ら無いだろう。おそらく40代以上からようやく知っている人が少しずつ顔を出してくる程度だと思う。この映画は1度でも目にしたら頭からなかなか離れ無い作品であることは間違いない。ふとした瞬間にやってきて「そういえばあの映画のあのシーンが・・・」とフラッシュバックさせる魔力を持つ作品だと言える。古い映画なので映像美が優れているわけでもなく、音響が特段格好いいわけでは無いのだがこの作品の持つストーリーに思わず引き込まれてしまう。自ら成長を止めた不思議な(不気味な)少年が織りなす性の発露はあまりにもアンバランスである。また、この作品を通じて流れているエロ・グロ・ナンセンスといった古き時代の日本を彷彿とさせるような雰囲気は現代の「お利口さん」を追求した視聴者に一つの警句を投げかけるようでもある。映像美や表現芸術としての作品の価値をモラル・常識といった足かせが押さえつける現代において、このようなある種火遊びのような作品には重要な意味があると思う。暗く重いドイツを写した少年からの視線を通じて、僕らの生きる時代に新しい価値観を投げかけるような作品であるといえよう。
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