ここ数年で観た邦画の中でも1、2を争う大傑作。
この映画にはとてつもない説得力と吸引力があるように思います。そこのみにての、そこはドン底の底なのかもしれない。と思うくらい、日本社会の最下層の中の最下層でしかすみ暮らせない人々の人生模様を照らし輝かせるような執念にも近いリアリティが観客に息を飲ませる凄みがあります。それにしても、この映画は出ている役者がみんな、演技巧者揃いで小説を元にした映画ということを忘れ過酷な条件での仕事により同僚を事故死させてしまい、今は現実から逃げ惑う自堕落な青年を、綾野剛が大熱演しています。主人公の彼女になる役で登場する、池脇千鶴も病気により性欲だけが歪んだ形で残ってしまった父の世話をするために、場末のスナックで家族を養っています。この二人の主要人物の日常を冷酷なまでに美しい映像美で切り取りながらストーリーは進んでいきます。もう、明るい要素は皆無と言っても良いくらい悲惨な展開が続くのですが、ちょっと知恵の足りない主人公の彼女の弟も力んでは空回りし最後に自爆するという救いのなさです。でも、確かにこれは現代日本の姿なんだ。目を背けちゃいけない、と思わせる。圧力が次第次第に快感に変わっていくのだから不思議です。大傑作です、是非、御覧ください!
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