潔く柔くのカンナ
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同級生の男の子の死という内容を扱いながらも、重くて疲れるかんじではなく、全体的にふんわりした空気感。でも、ちゃんと切なくて、悲しい。
日常的には、笑ってるし、軽やかに生きていけますが、抱えてる胸の苦しさを簡単に忘れることなんてできない。社会的な場において笑う事はありますが、抱えた痛みは心の奥底でいつも疼いています。
そんな主人公、カンナについて考えてみました。
まず、カンナみたいにモテる女の子の気持ち私にはわかりませんでした(笑)
いつも何もしなくても周りに男は寄ってくる。一緒にいても好きな男子はみんなカンナのことを好きになる。嫉妬せずにはいられません。どんなに可愛くて、悪気もなくて性格よくても、曖昧ではっきりしない態度に自分の好きな人が夢中になったりしたら、やっぱりカンナみたいな女の子と一緒にいるのは辛いです。物事はっきり言えばいいのに。そのはっきりしない態度でみんな周りは困ってるくらいに思うかな。友達なら。
ハルタの死がなくても、朝美は全部でカンナを受け入れられたかどうか疑問です。高校生の話ですから。
だけど、カンナは悪くない。カンナみたいな女のコってわりと孤独なんですね。同性の友達に理解されるには時間がかかる。だけどもうこの子にも色々あるんだなって寄り添える部分が見つかれば親友になれるのかもしれません。なぜなら、カンナはすごくいい子です。黙っててもモテちゃうから恋愛に受身になっちゃうのは、しかたないですね。
カンナがハルタを好きだったのかどうか…。
うーん...。好きだったとは、思います。ただその思いがこの人だけっていうふうに向けられる前に、ハルタがあんな形で亡くなってしまって、それがなんだったのか分かる前のことっだったのではないのかなと私は思います。あの頃マヤとどっちが…って言われても、どっちも好きだったっていうのはあると思います。これからのこと、自分の本当の気持ち...分からないまま周りで色々な変化が起こりすぎてしまったのではないのでしょうか。
多分カンナは、ある部分周りの友達に比べて幼い部分のある高校生だったのではないでしょうか。マヤ、ハルタ、自分、朝美と4人で一緒にいるのが一番楽しいとだけ感じていたのではなのでしょうか。朝美からすれば、その鈍感さが腹立たしくもありますが、時間がたって大人になれば、あ~、そういうかんじだったんだなと気づいて憎めない子にかわっていくのかなあと思います。
禄ちゃん…いいですね。すぐに見た目や雰囲気だけでカンナに近寄ろうとはしませんでした。禄ちゃんもモテますね。カンナみたいな女のコ相手にも毒を吐く。二人はちゃんと話をしてひかれあって、同じような痛みを抱えて分け合えて、とにかく出会えてよかったです。カンナに疑問を抱えたり、嫉妬したりしても、こんなに長く幸せつかむまで辛い想いを抱えた姿をみているとやっぱり最後がハッピーエンドでほっとしました。もっと早くに二人が出会っていたらまだ違っていたかもしれませんが、長く心に引っかかる想いを抱えて苦しんでそれからの出会いだったので、このタイミングだったのですね。
見守るのが愛だな。ハルタのこのセリフ。切なくてこの漫画全体のテーマともとれるセリフですごく好きです。でも、もしハルタに未来があったのなら、そんな風に決めつけなくてまだ良かったんだよって言いたいです。未来があったならどんなふうにでもなれたかもしれない。カンナはまだあの頃、鈍感で幼くてあなたの存在の大きさを自覚してなかったのかもしれない。決めつけて身を引くようなこと言わないで。まだ高校生じゃん!!って言いたいです。
カンナの想いを私的な解釈で言わせて頂くとすれば…ハルタごめん。あの頃は子供で、分かってなくて、とにかく大人じゃなくてごめん。あなたといて楽しかった、幸せだった、いなくなって悲しくてツライ。
でもね、誰しも経験不足で自分の何気ない行動、言動で人を傷つけてしまうことはありますよね。若い頃って…。ハルタだってそんなカンナを責めたりしないです。
自分で自分を許してあげて、素敵な大人になってね。禄ちゃんといつまでもお幸せにね、カンナちゃん。
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