前代未聞の囲碁ブームを起こした名作
なんてことない平凡な小学生ヒカルが佐為という囲碁に未練を持ちつつ自害した平安時代の亡霊に出会い、佐為に協力する形で囲碁を始めるという作品。アニメにありがちなあらすじのようにも思えるがこの作品の魅力は囲碁という、あまりルールの知られていないボードゲームをまるでバトルアニメを見ているかのように演出し、ルールをしらない視聴者をぐいぐいと引き付ける強さを持っている所だ。そして原作者の画力が格段に進化を遂げた作品であり、アニメもそれにともなってかなり綺麗な絵になっている。それはまるでアニメという枠を越えた芸術作品のようである。音楽もかなりマッチしていてたびたび感動が音楽によって増幅させられる。欠点を見つけることが難しい作品である。しかし一つ上げるなら少年マンガにありがちな行き当たりばったりで結末を用意せずに作り始めた作品なのか、終わりに向かって少し作品の厚みが薄くなっていくような悲しさがあり、アニメに関しても中途半端な終わり方をしたなという印象を受けてしまう。しかしよくありがちな天才的な才能を手に入れるというストーリーを、佐為という主人公と同じように悩み、成長する1人の人格に才能という役割を担わせて主人公を刺激し成長させる設定は見事だと思う。これにより作品は厚みを増したし、佐為との別れの苦しみを乗り越えたことによりヒカルはさらに成長できたのである。このアニメに刺激され囲碁を始めた少年少女は多く、確実に囲碁というゲームの寿命を伸ばすという歴史的快挙を成し遂げた作品である。
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