シリーズ初の上下編、読み応え抜群です
小市民シリーズ3作目、季節は秋、ということですが小鳩くんと小佐内さんの高校3年生の春から秋までが書かれています。 前作の夏期限定トロピカルパフェ事件と同様前作を読んでいることが前提です。
さて、前作で小鳩くんと小佐内さんは互恵関係を解消してしまいました。
今作でも解消したまま、二人は別々の高校生活を送っています。 二人とも学校関係の人にはすっかり小市民というイメージがついているので一人でも困らないのです。 可もなく不可もない高校生活、
そんな二人にはそれぞれ恋人ができます。 小鳩くんはクラスの明るい女の子、小佐内さんは積極的な年下の男の子の恋人ができます。 小市民どころか充実している高校生活を手に入れることができます。
だけれど、小佐内さんの恋人瓜野くんは新聞部として不穏な事件に関わろうとしています。 この瓜野くん、自分の実力を見極められていない、自分を大きく見せようとする、等小鳩くんと小佐内さんが目指す小市民そのものでは、と思いました。 小市民を目指している二人が一番小市民から遠くて、小市民なんかじゃない、俺はやってやると思っている瓜野くんが一番小市民、というのは自分についてあれこれ悩んでいる高校生らしいなぁ、と思います。
最終的にはお互い恋人とは別れてしまいましたが二人の関係は復活させます。 一度は意味がない、と解消した関係を復活させる、今まで通りの関係なのか二人の関係に変化があるのか、今後の続編がとても楽しみな作戦です。
上下編ということもあり前2作よりミステリが濃厚だと思いました。
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