千の仮面を持つ少女…だったっけ? - ガラスの仮面の感想

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漫画レビュー数 3,136件

ガラスの仮面

4.004.00
画力
3.88
ストーリー
4.00
キャラクター
3.75
設定
4.13
演出
4.00
感想数
4
読んだ人
24

千の仮面を持つ少女…だったっけ?

3.53.5
画力
3.0
ストーリー
3.5
キャラクター
3.5
設定
3.5
演出
4.0

目次

祝・連載40周年(^_^;)

今、手もとにとある百貨店のバレンタイン企画冊子があるのですよ、なんと懐かしや「ガラスの仮面」とのコラボ企画。おいどうした高〇屋! 怖いもの見たさでホームページも開いてみましたよ。わははははは、この絵だこの絵だ!、インパクト強いわぁ。しかも書き下ろしじゃなくて、とっても見覚えのある漫画本編に使われたコマのコラージュ! 乱れ飛ぶ花、大仰なポーズ、葛藤して思わず白目になるマヤと亜弓。しかしうまいこと台詞だけ入れ替えて、効果的にキャンペーン告知が展開されとるとか、プロの仕事だわ。遊び心を入れながら、販売戦略はみっちり張り巡らせる〇島屋、恐ろしい子っ!

のっけから茶化してしまいましたが、そう、40年経つんですねー(遠い目)。1976年に連載開始されたこの漫画、とにかく勢いのある作品でした。あの頃の漫画作品は、細けぇことはどうでもいいんだよ、とばかりにハッタリ効いていたなぁ。サブカルチャーに疎い人でも「巨人の星」「あしたのジョー」「ベルサイユの薔薇」「ガラスの仮面」の名称くらいはご存知なんじゃないでしょうか。今の漫画業界の基盤を作ったこれら作品群は、読まれることは少なくなったでしょうが、作中の名言、名シーンはなにかとメディアで流用され、今じゃネタとして定着すらしています。

そういえばずいぶん前に、とうとう「ガラかめ(ガラスの仮面の非公認略称)」が携帯電話を導入した!というニュースをweb上で見かけた記憶がありますな。黒電話にブラウン管テレビの時代でしたよ、そういえば。時代を感じるわぁ…

平凡な天才少女と華やかな秀才少女

この物語の主人公は、ラーメン屋で間借りしながら働く母親と二人暮らしする少女・北島マヤ。貧乏・母子家庭・不器用・容姿も学業も平凡と、これでもかとテンプレな要素が盛り込まれた人物です。父親はおそらく故人なのでしょうが、作中では全く語られないばかりか、写真も位牌も果ては名前さえ判明していません。昔の漫画は設定が大ざっぱというか骨太で、その分原始太陽のようなパワーに溢れてました。

恵まれない環境に生まれ育ち、なぜか演劇に関して非凡な才能を持つ北島マヤに立ちふさがるライバルは、有名女優と大物映画監督の間に生まれ、容色・才能・環境全てに恵まれた少女・姫川亜弓。もうこの構図はまんま星飛雄馬と花形満ですわ。後先考えない情熱だけで演劇に没頭するマヤは、読売巨人軍…じゃなくてかつての大女優・月影千草によって見出され、家を飛び出し女優への道を進むこととなります。それからが波乱万丈、一度は芸能事務所に所属し、舞台や映画、テレビドラマ出演など、今で言うアイドル的なポジションまで登り詰めます。そしてまだ高校生なのに、なんとマヤは転落人生まで経験してるんですよ。もしやこの間一年くらい?

客観的に見るとマヤという少女は、人生の初めにおいてあまにりにも起伏の激しい経験を積んでいますね。家出はするわ、お茶の間の人気者になるわ、挙げ句母親を亡くして芸能界から事実上の追放。傷ついて、失意のあまり一度は芝居を辞めようとまで思いつめますが、ライバル・亜弓の叱咤激励等などあって、演劇への情熱は再びぼうぼうと燃え盛ります。

はじめのうちは典型的なイジワル少女のように描かれていた姫川亜弓ですが、マヤとの対比としてその存在感はどんどん増して実質もう一人の主人公と言っていいでしょう。対抗心を持ちながらもある種の友情をマヤに抱き、彼女が陥れられた時は、なんと古風に敵討ちまでやってのけます。また恵まれた環境にありながら努力を怠らず、認めた才能には賛辞を贈る。作中で一番好きなキャラかもしれません。

ついに幻の「紅天女」は描かれるのか?

演劇を扱った作品であるせいか、登場人物たちの言動もとにかく芝居がかっています。そしてこの作品に挿入された劇中劇には、既存の戯曲として有名な演目もありますが、半分ほどは作者・美内すずえ氏のオリジナルです。様々なジャンルの作品を発表されてきた方ですが、特にホラーや史劇風の活劇ものを得意とされている印象がありますね。もしこの作品がこれほどまでに人気を博し、長期連載されることがなかったら、それらのオリジナル演目は短編・長編の漫画作品として世に送られていたことでしょう。

実はマヤと亜弓が紅天女候補として正式に争う展開になってからは、本作を読んでいないんですよ。長期休載期間を経て、完結に向けてぼちぼちながら執筆活動は続けられているようですが、そもそも当初は「紅天女」のストーリーが出来ていないという事情もあったようで。ホントに勢いで生み出された作品だったんだなぁ(^_^;)

ドラマに小説、アニメにほんまもんの舞台劇と、未だ様々な方面に精力的なメディア展開を広げるこの大河ドラマ漫画、最終回はどうなるかしら? とうとう再演を果たした紅天女の舞台を観覧しながら、満足そうな笑みを浮かべて息絶える月影先生……おっと妄想が過ぎましたか。

さておき世間ではバレンタインデーに向けての商戦が賑々しく展開されてますね。冊子の中ではなぜか手作りチョコ対決をするマヤと亜弓の番外編が収録されていたりします。しかしさすがは有名百貨店・高島〇、麗しくも美味しそうなチョコレートのラインナップだわ。今度仕事帰りにでも寄るかぁ(´・ω・`)

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演劇漫画の金字塔

当時中学生が読むには早すぎたこのマンガを初めて読んだのは、中学生の頃。ちょうど主人公北島マヤが家出した時と同じくらいの年齢の時に読んだ。その時は自分に何が出来るか、何に向いているかなんてさっぱりわからないのに進路とかは具体的に出さないといけない学校にうんざりしていて、北島マヤのように何をおいてもやりたいと思えるものに出会えることが単純にうらやましかった。うらやましい反面、実際自分にここまでする勇気があるのか(中学生なのに家出したり)自問自答したりして余計に落ち込み、以来遠のいていた作品でもあった。大人になってそういうことがあったことを思い出し、急に読みたくなってもういい年になってから「大人買い」なるもので全巻そろえた。主人公北島マヤは、天性の才能(台本を一度で覚えてしまうのは才能だろう)に加え、様々な努力をしている。本人が努力と思っているかどうかは謎だが、毎日演劇のことを考えて生活して...この感想を読む

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5.05.0
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