このマンガを読んで、マンガ家になりたくなりました。
この作品をはじめて読んだのは高校生の時。それまでは格好いい可愛い綺麗な絵のマンガばかり読んでいて、正直、古くさい絵柄だな、というのが手に取った時の印象です。友人に強く進められ、しぶしぶ開いて数ページ読みはじめると、恐ろしい吸引力で物語に引き込まれ、足元が崩れていくかのような衝撃を受けたのを覚えています。
読み物、とかくマンガというものは絵柄によって受ける印象が半分をしめます。表紙買いという言葉が存在するように、格好いい綺麗な絵柄は手に取りやすく、またファッション同様に流行も大切です。しかし、この作品において、マンガは流行の絵柄が全てじゃない、ということを学ばさせてもらいました。
ジャンプ全盛期、派手なアクションに女性受け満載のキャラクターが活躍するマンガばかり読んで、カラオケ三昧苦労知らずな私には、主人公マヤの恐ろしく貧乏で過酷な学生生活には共通する部分はありません。しかし、不幸であるからこそ、共感してしまう、そして応援したくなる魔法がこの物語の軸になっていると思います。この不幸の谷の部分が深ければ深いほど、後の成功が大きく反発し、より至福のものに感じられるわけです。この感情は絵柄によってではなく、マヤという人物の生きざまによって得られるものなのだと理解した時、マンガの奥深さと面白さを実感いたしました。それは今までの自分のなかの“マンガ“という概念を覆す威力で、マンガ家を目指す人には一度以上読んで、なぜ面白いのかを研究するべき作品です。
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