「閉じこめ症候群」と尊厳と生きることの意味。 - 潜水服は蝶の夢を見るの感想

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「閉じこめ症候群」と尊厳と生きることの意味。

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

「ELLE」の敏腕編集長だったジャン=ドミニック・ボービーの小説を原作とした映画。画面は不安定にゆらめく光から、徐々に像を結んでいくかたちではじまる。ジャンは脳溢血で倒れ、意識はあるが全身に麻痺を負う「閉じこめ症候群」となってしまう。 唯一動かせる眼球の動きによってYES/NOの意思表示を示し、アルファベットを順に読み上げ、希望の文字を知らせる、という方法によって意思の疎通をはかり、かつ本の執筆を続けよう、というとんでもないことに挑戦する。 現代を日本語に訳すと「潜水服と蝶」だが、これを「潜水服は蝶の夢を見る」と名付けた人はエライ。潜水服については、完全に意識があるのに誰にも伝えるすべのない自分を、「潜水服を身につけてプールに浮かんでいるようだ」と内省するシーンがある。 重病を患いながらも活動をやめない、という不屈の闘病映画というよりは、尊厳とはなにか、人が生きるってどういうことか、といった問いかけを投げかけてくる映画である。 全編、おさえた光量の映像もとても美しく、胸を打つ。

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