志賀直哉『暗夜行路』作品論集の評価
志賀直哉『暗夜行路』作品論集の感想
暗夜行路の私なりの解釈
志賀直哉にとって、長編は本作のみであること、前編から11年立っていること、などから長編と言うスタイルは結果であって、ストーリーを中心に何かを読み解く、というよりは、それぞれのシーンに分けて文体や描写の美しさを読む方が楽しみやすいかもしれない。とは言え、それでは長編として失敗作なのか、というとそうではない。後篇の中盤以降から長編らしい展開が紡ぎだされる。辛く苦しい前編本編のあとがきに作者自身が書いているが、本作を書くにあたり、夏目漱石から作品を要望されたもののなかなか書けず、申し訳ない気持ちで4年を過ごしたことなどがかかれている。また実際の父との不和を題材にしていたのも作品が進まなかった原因らしい。確かに暗夜行路前編はこの作者の焦りやいらいらが文体に現れており、ある意味気持ちのままに思う事を描写する、という志賀直哉らしい文章なのかもしれない。とは言え、前編については辛い気持ち、いらいら、...この感想を読む