ふたたびの恋—シナリオの評価
ふたたびの恋—シナリオの感想
大人向けの単発ドラマのような恋の話
「じんわりとせつない恋の短編集」という謳い文句の短編集。「せつない」とあるので純愛の類かと思ったが、色々事情がある大人の恋の話である。「ふたたびの恋」は脚本家の男女の話。昔師弟関係且つ不倫関係であった二人が、沖縄で再会しシナリオを作っていくうちに恋心が蘇っていく。女性の強さと脆さに好感が持てる。同時に、脚本ができていく様が面白い。野沢さんの遺作となった小説プロットが巻末に収録されているのだが、この話を読んだ後にプロットを読むと「なるほど」と感心した。「恋のきずな」は息子の友人(高校生)に恋する主婦の話。「さようならを言う恋」は元妻の結婚式を見届ける話。いずれもサラッと読めて読後感も良いが、大人の事情の訳ありの恋である。