歩兵の本領の評価
歩兵の本領についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
歩兵の本領の感想
登場人物ひとりひとりの息づかいまで聞こえる名作
浅田の本領稀代のストーリーテラーとして不動の地位を築いている作者が綴る自衛隊での生活とはどんなものか。期待してページをめくるとそこにいたのは自衛隊しか行き場のない一人の若者だった。筆者が自衛官経験者であるのは有名だが、大多数の読者の共感を得るためにこのような設定にしたのではないだろうか?筆者のように自ら望んで駐屯地の生活を経験したいという若者は今も昔も稀だからだ。多くの若者は生活のため、または安定のためというのが本音だろう。それはともかく、筆者にとってこれを書き上げるほど容易い仕事はなかったのではないだろうか?事実は小説より奇なりというが、駐屯地で起こることそれ自体が、世間一般の生活をしている人から見ればドラマのようなものだろう。しかしそれにしても目を瞠ったのは筆者の人間観察眼だ。実際に駐屯地の生活を経験したと言っても、それを小説として読ませるには一人一人の登場人物の思考を忖度できなけ...この感想を読む