ノルウェイの森の感想一覧
村上 春樹による小説「ノルウェイの森」についての感想が9件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
ノルウェイの森を「生と死と性」というテーマで読み解く
その日僕らはウイスキーを飲みながら「ノルウェイの森」について語っていた。僕らは酒を飲んでいれば実によく小説や漫画について語り合った。そしてその日は村上春樹のノルウェイの森だったのだ。A「クライマックスのレイコさんとの性交って話として必要だと思う?」僕「『寂しくないお葬式』は絶対必要だけど、そこはどうだろうね・・・」そもそも性に対する記述が多い小説だからね、などと言いつつ話をしていたが、色々な登場人物の生や死を分析していくうちに一つの仮説にたどり着いた。クライマックスシーンでワタナベとレイコの性交がかかれているが、これにはどんな意味があるか?そしてその説を当てはめる事で、他の登場人物たちについても理解が深まるように思う。なお、以後説明する中で1人だけこの説が当てはまるのか判断できない人物がいる。それについても、この説にはまだ検討の余地があり完成でない、という明記しておく。考察の概要:この小...この感想を読む
懐かしく読んでます
本書はとても良いと思います。おすすめです。ストーリーは非常にたんたんとしていますが、とても面白いです。主人公たちの心境が痛いくらいに伝わってきますし、若者たちの愛や性、感情の起伏など、とてもリアルに描かれています。村上さんの代表作のひとつですね。読んでみて一言で表すと「とても切ない気分なる小説」です。残念なのはせっかくの透き通った世界を書いているのに、読者にうけようとした余計な描写が気になりました。若いときに書いた村上氏の不完全さかな。その減点を含めても☆5つの素晴らしい内容でした。上下巻と読み終わると、主人公にずっぽりハマってしまいしばらくの間沈んでしまった気分が。深く考えさせられる作品でした。
ベストセラー
有名な村上春樹のベストセラー作品です。小学生のころ、ずっとこの本がランキング1位になっていて(昔はテレビでよく本のランキングを紹介してたのです)、赤と緑の表紙がすごく印象に残っていました。わたしが、最初に読んだ村上春樹の作品であり、村上春樹にはまったきっかけでもあります。何回も読み返しているけれど、いつ読んでも新鮮な気持ちで読んでいます。わたしは、特にワタナベくんが緑の家でお昼ご飯をご馳走になるシーンが好きで、そこだけ読むこともあります。緑の作ったご飯が、どれもおいしそうだから!!!わたしにとって、いつも手元において、何回も読みたい一冊です。
恋愛小説の中にある何か
一時代を創ったベストセラーです。男女の恋愛が中心にありながらも、様々な要素が詰まっています。直接的な性描写や喜劇的なこと、音楽や映画、そして時折親しい人間の死などが影を落とします。全体的にはコミカルで楽しい要素が詰まっているのですが、冒頭のエピソードなどからも分かるようにどこか重さ暗さも潜ませています。文章はとても平易で読みやすく、あちこちに散りばめられているエピソードは読ませるものであったり、笑ってしまう事柄が多いです。テーマなどを深く読もうとせずとも、軽いタッチを楽しんでいくだけでも良いと思います。今から読むとやはり当時の世相を反映した部分がありますが、物語自体は古びず面白い作品として仕上がっていると思います。
年齢や人生経験によって、新たな感じ
村上春樹さんの大ファンです。すべての著書を読んでいます。これはもう20年ほど以前にベストセラーになった、当時から年月が経っていますが、今読んで良かったと思います。若すぎると解釈に苦しむような気がして・・・かといって全てを理解して読んだ訳でもなく読む人にとって幾通りにも変化するかなと。多分もう少し年月が経過して読むとまた違う色彩でイメージできるかも。なんて・・・村上春樹さんの作風としては珍しいといっていいほどの純・恋愛小説だと思います。独特な世界や文章の雰囲気は面白いな~と思いましたが、映画化もされるということで再びブームが来るかもしれないですね。何度読んでも切なく胸に染みる小説です。
村上春樹作品の代表作、とりあえず読んでみていいかも
非常に文学性が高い話だと思いました。それは、良くも悪くもですが。つまり、読む人はそれなりの覚悟をした方がいいということです。エンターテイメント性は低いです。村上春樹作品の代表作です。とりあえずこれを読めば自分に村上春樹が合うのかどうか判断できると思います。内容は、過去に人間関係に失敗した大学生の主人公がなんだかんだで恋愛に落ちうんたらかんたら・・・と続くお話しです。正直目新しさみたいなものはないです。これは、雰囲気とかを楽しむ作品だからです。その点、登場人物の言葉の使い方、比喩の使い方は雰囲気にマッチしています。・・・まぁでもあんな風に話す人はいないと思うんですけどね。自分には少し回りくどすぎるように思えました。しかしそここそが味であるのですから、それを楽しめる人のみが楽しむものなのでしょう。自分にはあいませんでした。感情移入しようにも「いや、そんなこと自分なら絶対しないよ・・・」とな...この感想を読む
これを読まずして村上春樹は語れない
村上春樹の小説を語る上で、この作品を避けて通る事はできないでしょう。80年代に一大センセーションを巻き起こしたこの作品は、大ベストセラーになり、一種の文化といってもいいくらいでした。若い青年の恋愛物語ですが、個人的に、恋愛小説の代表として、すぐに思い浮かぶのがこの作品といっていいくらいです。時代背景が、1960年代なので、学生運動なども少し出てきますが、話の筋は恋愛が中心になっています。性描写が多い事も話題になった作品で、確かに、結構そういうシーンがあり、その点では、中学生くらいの学生には、刺激的な部分があるでしょう。若い青年の、繊細で、移り気で、やや傲慢で、複雑な世代の心情を、村上春樹の独特のタッチで綴られていきます。説明的ではないのに、主人公の感情が、泉のようにあふれ出るのを感じとることができる文章力、この世界観は、やはり唯一無二といっていいでしょう。
村上春樹の分岐点
言わずと知れた村上春樹の代表作です。物語は村上春樹の息を感じるように淡々とした語り口調で進んでいきます。村上春樹作品では初めて性の描写が登場する作品であり、後の村上春樹展開のはじめを見ることができます。物語としては青春時代からいろんな悲しい出来事があり、人間関係の名状しがたい湿った部分を追っていくという、とてもシンプルなものです。今の他作家のように、プロットや物語設定で語る作品ではないと思います。読み進めていくと村上春樹の息を吐くリズムの中にいるような、話の内容というより”感触”が残る作品です。これが文学なんだと、今の他の作家との違いが解る作品です。とりあえず読んでみても損はない話です。
性、そして生。
普段は恋愛小説とか全然読まないんだけど、春樹だから特別というか、そういう感じで手に取ったのを覚えている。というか、そもそも、これを恋愛小説って呼んでよいものか。最初に読んだのはおそらく、大学生二年生の頃。主人公と年代は近いけど、時代背景が違うから感情移入が完璧にできず、ちょっとエッチな表現とかにドキドキしながら読んだ記憶がある。笑当然、ラストのレイコさんとのシーンは理解できず。次に読んだのが、映画化されるにあたっての予習として。なんだろう。こちらも少しばかり成長したのか、感想は変わるわけで。春樹なりの死生観というか、そういう所。「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」こんなフレーズ、最初の時は気にならなかったのにな。まだまだ追いつけないけど、また数年後に読むのだろう。