大黒屋光太夫の評価
大黒屋光太夫についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
大黒屋光太夫の感想
約230年前にロシアに漂流その後日本へ帰国した本当にあった話。大黒屋光太夫を読んで
天明2年(1782)、伊勢白子浦を出帆した回米船、神昌丸は暴風雨に遭遇、舵を失い漂流。沖船長の光太夫ら17人はアリューシャンの小島に漂着した。この時光太夫は若干32歳である。 話は巻き戻るけれど、この航海は光太夫にとって沖船長としての養父の三五郎から任された初の処女航海なのである。出港前の港の様子や、船乗りを相手に春を売ろうとして近寄ってくる、小さい船にいる女たちなどの事細やかな描写は本当に吉村昭の小説の骨頂と言えるだろう。吉村の作品に共通するのはドキュメントを追及してとにかく調査して、徹底的に真実を伝えようとする熱意が作品から伝わる点だ。称賛に値する。まるで私がその場の様子を俯瞰からずっと覗いて見ているような、そんな気分にさせてくれる。私が、昔の日本人はりっぱだなとつくづく思ったことがあって、こんなあきらめてしまいとうな状況なのに毎日光太夫はこれまでの経過を日誌に書き綴ってました。天候のせい...この感想を読む