半沢直樹ばかりではない!池井戸作品の魅力
元銀行員だった作者だからこそ描ける金融業界の内幕とM資金をめぐるミステリー最終退行は、ドラマ化もされた事のある下町ロケットや、半沢直樹ですっかり有名になった池井戸潤さんの小説です。物語は、敗色濃厚となった旧日本軍が、第二次世界大戦中に強奪した資金を金塊にかえ、東京湾に沈めたという噂のあるM資金を密かに引き上げようとしている場面から始まります。冒頭を読んだ限りでは、一見いつもの池井戸さんの作品とは異なるストーリーなのかと思ってしまいますが、読み進めていくと、物語はこの作者が得意とする金融関係の内情に関するものへと展開していきます。バブルが崩壊した事によって、都市銀行の中でもすっかり負け組として扱われる様になってしまった東京第一銀行。この銀行の羽田支店で副支店長を務め、融資課長を兼任している蓮沼鶏ニが主人公です。東京第一銀行では、何とかして業績を上げようと取引先の企業に対して貸し剝がしを進め...この感想を読む
4.34.3
PICKUP