ないもの、ありますの評価
ないもの、ありますの感想
本当にあったら面白いモノたち
クラフト・エヴィング商會は一体何者なのか、というのは、彼らの本を読み始めたばかりの全ての人達が疑問に思うところだろう。基本的に、彼らが出す本は『カタログ』という体裁をとっている。クラフト・エヴィング商會は、明治の終わりから大正、昭和の初期を彷彿とさせる、謎の行商人、という説明がとてもしっくりくる。この作品は、タイトル通りの本だ。ないものが、あるのである。人生の中で一度ならずとも耳にしたことのある、実態不明のもの。例えば、『堪忍袋の緒』であったり、『舌鼓』であったり。それは実はこういう品物なんですよ、と説明してくれている本。まさに、カタログだ。読みながら色々空想してみるのも、クラフト・エヴィング商會の本ならではの楽しみ方だ。