フライ,ダディ,フライの評価
フライ,ダディ,フライについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
フライ,ダディ,フライの感想
暴力ではなく”力”
暴力がいかにして生まれるかこの作品に限らず金城一紀の作品を読んでいると、暴力とは何たるか、ということをしばしば考えさせられる。世の中から暴力をなくそうという基本的な理念は世界中の誰しもにも理解してもらえるはずだ(少なくとも表面上は)。しかし現実問題暴力は世の中を支配している。それはただの筋力や武力なんかだけではなく、権力や社会力による他人の制圧もそうであると思う。そしてもっと言えば暴力のない世界の実現という考え方でさえも、他人に強要してしまえばそれはすでに暴力の始まりなのだ。なぜこのように暴力は世の中を支配しているのか。この作品の場合で言えば物語の始まるきっかけが暴力である。サラリーマン鈴木の娘が高校生ボクサー石原に襲われてしまうのだ。普通の女子高校生とボクサーである男子高校生という圧倒的に力に差のある相手に無抵抗に攻撃される。そこでその悔しさを暴力で相手にぶつけようと今度は鈴木が刃物...この感想を読む