イノセント・ゲリラの祝祭の評価
イノセント・ゲリラの祝祭についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
イノセント・ゲリラの祝祭の感想
とにかく議論が続く
単行本とは少し内容の異なる本書。内容に「東京内外殺人事件」という未収録作品が足されているらしい。田口が東京で遺体を見つけるところから始まり、「今回はミステリー路線なのかな」と思いきや、メインの舞台は厚生労働省の会議室。そう、今作は下巻まで渡って、ほとんど議論しているだけで進んでいくのだ。著者の一医療人としての思いが強く前面に押し出され、法というものが傲慢に描かれているので、少々違和感を抱いてしまった。法も少しずつ変化しながら人を守る。少なくともそれがあるべき姿なのだが、人を救う医療を阻むものとして書かれすぎている。議論には迫力があり、会議室という地味な場所でありながら見事にエンターテイメントしている。個人的には、もう少し登場人物の人間性にも焦点をあてて欲しかったが。