堕落論の評価
堕落論についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
堕落論の感想
生きることと堕落すること
「人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるのだ」坂口安吾の人間に対するどこか優しい目と、戦争で死ななかった人たちへの思いやりを感じます。特攻隊は生きて帰ってくることを恥としましたが、「人間」と言うのは特攻隊から帰ってきてから始まる、みっともないのが人間だ、生きていればみっともないのだと当時の日本人が言えなかったであろうことを言ってのけた、痛快な作品です。美しいものが美しいまま死ぬのも悪くはないけど、それでも一緒に年老いていきたかったと、早く死んでしまった人を想うときに感じる感じを、坂口安吾は見事に文章にしてくれたのです。短いけれど、とても読み応えがあり、生きているのも悪くないかと思いました。