こうふく あかのの評価
こうふく あかのについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
こうふく あかのの感想
変わった旋毛を発見したような小さな感動。
カバーイラストがいくえみ綾先生。上記の理由で購入しました。そしてしばらく寝かせ、存在を忘れかけた頃に何か本を読みたくなって偶然手にした、という大した意気込みもなく欲求もないままページを開きました。本の内容もあらすじもわからず、真っさらのまま読みました。読み始めは言葉がつらつら綴られ、文章のつなぎ目が見えないほど巧妙で気持ちが良かったです。久しぶりの読書とあって私に言葉の流れの心地よさを思い出させてくれました。ゆっくりゆっくり水の中に体を浸し、足に藻が絡んでずぶずぶと気がつけば頭のてっぺんまで飲み込まれて、けれど私は水の中での息苦しさも感じず、体の自由が奪われた居心地の良さに抗えずにいました。西先生ならではの、ということは言えません。なぜなら強烈さに欠ける物語だからです。強力な武器をひとつも持っていない。持つことを必要としていない話だと思いました。生身でぶつかってきているという危うさに、...この感想を読む