氷点のあらすじ・作品解説
「氷点」は、1964年から1965年にかけて朝日新聞に連載された、三浦綾子の小説である。 幼い娘を殺された夫婦が、亡くなった娘の代わりに女の子を引き取って育てるが、実はこの子が実の娘を殺した殺人犯の子だとわかり、継母はこの子をいじめつくすようになるところから、この物語は始まる。 タイトルは、困難な状況にもかかわらず前向きに生きようとする主人公の心が凍りついた瞬間を表わしており、クリスチャンの三浦はそれを、継母のひどい仕打ちのせいではなく、人間が生まれながらにして持っている原罪(original sin)に気付いたからであると表現している。 1966年には映画化されており、若尾文子らが出演している。また、1966年、1971年、1981年、1989年、2001年、2006年にテレビ・ドラマ化もされているし、韓国や台湾でもドラマ化・映画化されている。 なお、長寿番組の「笑点」というタイトルは、立川談志がこの作品をもじって命名したものである。
氷点の評価
氷点の感想
思春期の頃の私にはすごく衝撃的でした。
私がこの本を読んだのは、10代前半の頃でした。その頃の私には、ちょっと早かった・・・。衝撃的すぎて夢にまで見るほどでした。だって、父と母だと思っていた人が実はそうではなく、その人たちの娘を本当の父が殺してしまっていたなんて。いくらそうだったとしても、娘にいじわるするなんて・・・大切な人を失うことがどんなことかわからなかった私にはそんな風に思いました。だから、陽子が自殺を図ったことがすごく衝撃的でした。私だったらこんな風にまっすぐ育ち父の罪まで背負って命を落とそうとできただろうか。今でさえ親に反抗しているのに・・・と自分を振り返り反省できるのには数年かかりました。でも、この本を何回か読み直したからこそ、そう思えたと思うので、できれば、今思春期まっただなかの世代の人に読んでもらいたいです。
氷点は素晴らしい小説
この話は、三浦綾子さんは小説の新人賞で一般応募し、見事入選を果たした彼女の初作品です。この作品は「自分の娘を殺した殺人犯の子供を育てる」という非常に難しいお話で、「それでも自分は平等に娘を愛することが出来る」という慢心から始まったストーリーです。しかしやはり上手くいかないことは数多くあり、悩む父親。母親は娘(殺人犯の娘)をいじめ抜きます。しかしそんな境遇でも娘の陽子は本当に明るく優しい子に育ち、その生き様が私にはとても美しいものに感じます。こんな生き方が出来たらと本当に思います。何か辛いことがあると、私は陽子を思い出しながら乗り越えています。間違いなく素晴らしい小説です。
氷点の登場キャラクター
佐石土雄
性別:男性 国籍:日本 所属:伯父に引き取られる 特徴:ルリ子を殺した犯人 容姿:意外と端正 仕事:日雇労働 過去:16歳でタコ部屋に売られる 両親:関東大震災で亡くす 享年:35歳 最期:留置場で首を吊る
松崎由香子
よみがな:まつざきゆかこ 性別:女性 国籍:日本 所属:辻口病院 特徴:辰子と打ち解け合い、彼女の家に引き取られる 価値観:啓造に憧れを抱いている 職業:事務員 容貌:可愛らしい 身の上:天涯孤独 失踪後:盲目となりマッサージ師となる
村井靖夫
よみがな:むらいやすお 身長:長身 性別:男性 国籍:日本 所属:辻口病院 性格:虚無的で投げやり 特徴:二枚目 癖:博打打で女性にだらしない 職業:眼科医 顔立ち:彫が深い