猫を抱いて象と泳ぐの評価
猫を抱いて象と泳ぐについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が4件掲載中です。
各項目の評価分布
猫を抱いて象と泳ぐの感想
小川洋子的要素が結集! 集大成とも言える作品
小川洋子が得意とするテーマが満載30年近いキャリアを持つ小川洋子、彼女がその中で繰り返し書いてきたものがある。それは、何かを極める人、欠陥を持って密やかに生きる人、人間の生と死、この三点のどれにも当てはまらない作品は、少なくとも長編では存在しない。それほどに彼女がこだわってきた三つテーマが、なんと本作には全て揃っている。つまり本作は彼女の集大成とも言える作品なのだ。という乱暴なフリをすると、ベテラン作家がネタ切れして過去の要素を全部盛っただけ、と思われるかもしれない。しかし、本作は違う!それらの要素を過不足なくまとめ、小さな限られた世界をどこまでも深く丁寧に書ききっている。書評サイトなどで彼女の最高傑作という評価もある。私の個人的な順位だが、小川洋子作品に優劣をつけるとすれば、ことりか、貴婦人Aの蘇生、そして本作、猫を抱いて象と泳ぐ、この三つをを推す。 この考察では、まずは小川洋子特有...この感想を読む