風の中のマリアの評価
風の中のマリアについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が3件掲載中です。
各項目の評価分布
風の中のマリアの感想
なりたくはないが、憧れてしまう。
嫌われ者スズメバチ、のはずが…。「ハチは好きか」と聞かれて、「はい好きです!」と答える人間が世の中にいったいどれくらいいるだろう。ましてやスズメバチ。さらに言うならオオスズメバチ。大きいと言っても身の丈は10cm未満、人体に比べればはるかに小さい。なのに、目にした途端「殺される」と本能的に思わされるあの貫禄。刺されれば痛いのは当たり前、何度も刺すことができる上にあっという間に仲間を大群で呼び寄せ、「毒のカクテル」と称されるその身に持つ毒を空気中にまで散布する。虐殺部隊と呼んでも過言ではないと思う。虫好きな私でさえも、生体には安全地帯からしかお目にかかりたくない存在だ。庭に巣ができたと言われたら、彼女たちほど「土下座でもなんでもしますのでお引き取りください」と願いたくなる存在はない。本作はそんな「稀代の嫌われ者」オオスズメバチを主人公にした作品である。物語は、主人公・マリアの狩りのシーンから...この感想を読む