阪急電車の感想一覧
有川 浩による小説「阪急電車」についての感想が8件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
癒される物語です。
最初に映画を観て、自分が昔から親しんできた阪急電車が題名のこんなに素敵な作品があるなんて!!と嬉しくなってしましました。小説を読んでみて、登場人物それぞれが何処かで繋がっていて、他人に受けた恩をまた他人に返すお話だと思いました。とても温かい気持ちになるお話です。私たちは広いようで狭い世界で生きているのかなと思わせてくれる作品です。読み応えがあります。映画では宮本信子さん演じる、お婆ちゃんがとても格好良くて大好きだったのですが、やはり小説でも変わらず素敵でした。『阪急電車』は、映画も小説もどちらも楽しんでほしい作品です。お勧めです。
映画もみました!
映画の方を先に見ていましたが、後から原作も読みたいと手に取った本でした。どの登場人物も好感もてて、幸せな気持ちになれる本。阪急電鉄今津線を舞台にした物語。乗り合わせた客たちに起こる日常、偶然に阪急線に乗り合わせた人がつながっていく、ステキな物語。奇跡のような出会いに感じるけれど、それって結構身近におこることかも?優しい出会いが今日もどこかで起こっているんじゃないかなあと思いました。見ず知らずのおばあさんとお話ししたことや、毎日出会う通学中の名前も知らない子を気になったりした自分の経験もちょっと思い出したりして(笑)あまり、電車に乗る機会がないこのごろ、たまに電車で出かけてみたくなりました。
すべてが繋がります
阪急列車はとても短いローカル線だそうです。私は乗ったことがありませんがそんな路線が舞台のお話なのです。ある女性がウエディングドレスを着て列車に乗り込んできます。彼女は二股を掛けられていた男の結婚式に真っ白なウエディングドレスで参加して会をぶちこわしにしてきたのでした。ある女子女子高生は年上の彼氏のことで悩んでいました。社会人の彼とのことで悩んでいたのでした。ある主婦は毎日のように主婦友達に高級なランチに誘われて本当は行きたくないのに言えずに心が病んでいました。そんな風にいろんな問題を抱える人が電車に乗ってきます。そして、悩みを持った者同士が偶然出会い、それぞれに悩みを解決しすべてが繋がっていくのです。
電車の乗客たちの思いや行動が繊細に絡み合い物語を紡ぎだしている作品
映画化している作品だが、そのキャッチコピーである「その出会いは偶然なんかじゃ……ない」「終着駅は、きっと笑顔。」というフレーズにぴったりの心温まる作品だった。読み始めた時はそれぞれの人物のエピソード単発的に語られるだけかなとちょっと拍子抜けだったのだが、読み進めるうちにそれぞれの人物の心境や行動が絡まり合い「電車」という舞台を中心としたストーリーに仕上がっていて、読後は思わず電車に揺られたくなってしまった。片道14分程度しかないこじんまりとした路線が舞台だからこそ、様々な人々を乗せひとつひとつの場所に停車していく電車の姿とそこで繰り広げられる人物たちのドラマが共演していたように感じた。
偶然の出会いも素敵です
実在する阪急電車沿線を舞台にしたストーリーです。一駅ごとにストーリーが完結で短編かと思いきや、次の駅(お話し)へと絶妙に登場人物たちが次々に絡んでゆきます。行き(西宮北口方面行き)の電車ですれ違った登場人物たちが、折り返しを経てまた再登場し、別な登場人物とすれ違ったり、また新たな登場人物と触れ合ったりと気になっていた後日の様子も伺えるストーリー展開が絶妙。関西に住んだことがない私は、阪急電車は馴染みもなく、また乗ったこともありません。いつか作中に出てきた「いい駅」で降りて歩いてみたり、どんな人と乗り合わせるのか私も1度乗ってみたいと思わせてくれるお話しでした。
人々が織りなす物語
阪急今津線に沿って、それぞれの駅で様々な人が出会い、一歩ずつ進んで行く物語。一駅一駅、様々な人が乗り降りし、それぞれが胸に何かを抱えて生きている。ケータイ眺めて、新聞を読んで、あるいは昼寝をして……、と、一人の世界に入ることが多い電車の中ではあるけれど、ふとした出会いや切欠が、人生を変えるぐらい大きな出来事となる。その連鎖が、爽快で心地よい気持ちになる。行き帰りの構成が見事。そして、どことなくローカルな今津線の光景が目に浮かぶようで、この沿線にくわしい人・特に住んでいるひとにとっては、たまらないのではないだろうか。阪急に縁がなかった関東圏の私も、乗ってみたいと思わせる筆致。例えば東急だったら、多摩川線みたいなものか、いや、池上線か?なんて、他の電車でも、想像しながら乗るのも楽しいかもしれない。
構成が面白い
電車で出会う人々のお話です。登場人物が沢山いてそれぞれの人が自分の物語を抱えていて短編集のような気がするけれどすべて繋がっていてみんな他人だけれど同じ電車に乗っている小さな運命みたいなものを感じました。キャラクターも皆個性的で魅力があり読んでいて飽きません。有川浩先生の文章は難しい表現がなくスルスルと頭に入ってきて大変読みやすくて好きです。この小説はほんの4時間ほどで読み終えてしまいました。それなのに内容が沢山あって充実感たっぷりでよかったです。時間がない方でもこの本ならばすぐ読むことができるんじゃないでしょうか。あんまり長いお話は苦手…という方には大変おすすめな本です。
いつか乗り合わせてみたい
たまたま同じ電車に乗り合わせた人々の物語です。オムニバス形式になっていて、それぞれの登場人物がかすかにふれあったりすれちがったり、絡みあったりと面白い構成になっています。全てを読み終わったとき、ほっとするというか、爽快感があります。短編で、有川浩どくとくの軽い語り口で書かれているので、すらすらと読めてしまいます。自分も電車に乗って、登場人物を見ているような気持ちになります。それだけ、物語に違和感がありません。あの日あの電車に私が乗り込んでいたら、いったいどんな役割を果たしただろうかと考えてしまいました。いつか、あんな電車に乗り合わせてみたいと思いました。