プラチナデータの感想一覧
東野 圭吾による小説「プラチナデータ」についての感想が6件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
序盤のスピーディーな展開が見事な、東野圭吾の「プラチナデータ」
警察の通常の捜査に対して、新たな捜査方法が提示された。それは、DNAを特殊なプログラムにより解析し、犯人像を予想し、さらには犯人に近い血縁のものを特定するというもの。このプログラムにより、犯人のDNAを示すことができるものが現場に落ちていれば即、犯人を捕まえることができるようになった。これにより警察の捜査は大きく変わることになったのだが--------。このシステムをあざ笑うかのように、DNAから犯人像を特定できないという事例が現れることになる。システムに欠陥があるのか? 詳しく調べていこうとすると、そのシステムの開発者が殺害されることになり--------。読んでいる途中で、東野圭吾の作品というよりは、大沢在昌の作品を読んでいるような感じになった。基本的には警察機構の話と言えないこともないのだが、なんとなくスパイ小説のように感じられないこともない。これは東野圭吾の作品としては普通の出来栄えで、よくできていること...この感想を読む
主人公が魅力
国家レベルで進むDNA捜査システムの話。国民のDNAを採取して捜査に活用することで検挙率をあげるものである。システムの開発に関わった蓼科兄妹が殺され、皮肉にも責任者である神楽が犯人と特定され追われる身となってしまう。システムの秘密を探るための逃亡が始まる。神楽が二重人格であることが、この物語のキーになっている。別人格が描く絵・基本人格に与える幻覚などが主人公に人間味を与えている。システム開発者の人格である神楽は冷酷なように見えるが、絵を描くことを好む人格のリュウがあってこそのものなのだと感じる。逃亡しているシーンがほとんどなので、ペース良く物語が進んでいく印象である。だが、水上教授の思惑や政治的なものが絡んだプラチナデータについてもっと言及してほしかった。最後もなんだかあっさり。
こんな時代がもうすぐ訪れるかもしれません
東野さんの作品をいつも読んでいるので、当然のようにこの作品も購入しました。 DNAを国が管理するという設定で、最初は少しファンタジーっぽいなとかSF要素があるのかなと思いましたが、まったくそうではありませんでした。 読み進めていくと分かるのですが、このDNA管理システムが、なんともリアルなのです。本当に何年後、何十年後には導入されているかもしれないとすら思いました。そして、もしかしたらわたしたちが知らないだけで、すでにこんなシステムが出来上がっているのでは?とすら想像してしまいました。 DNA捜査を行って犯人逮捕につながる時代、近い将来くるかもしれませんね。
おもしろい。
私はもともと、東野圭吾さんの作り出す世界観やいろいろなミステリーが大好きで何冊も呼んだことがありました。そして、今回のプラチナデータ。映画も観に行きましたし、原作であるこの小説も探して購入しました。二重人格者の話は色々な小説でも取り上げられているテーマですが、共通しているのは必ずありきたりの結末で、二重人格者を取り上げてある小説はあまり好きではありませんでした。しかしこのプラチナデータでは、二重人格者のことが詳しくかけれており、このテーマだけでなく「プラチナデータ」についての物語も細かくかかれていて複雑に入り交じっています。衝撃の結末がまっていますので是非よんでみてください!
未来的SF物にしては…
遺伝子によって犯人を犯罪犯を特定出来るシステムが活躍する中、その開発者が犯人であると特定される事件が発生…という未来的なSF物です。流れるようなストーリーの展開でとても読みやすく、すいすいとページを進めてしまいました。序盤は良かったのですが、途中からちょっと失速気味になり、モヤモヤが残る最後となりました。近未来的な内容であるのに、ちょっと設定の粗さも目につきます。SF物はもっと細かで綿密な設定が必要なのではないでしょうか。そのため、読むことは出来るのですが、作品の中に吸い込まれるといった感覚はありません。じっくり読むタイプの内容ではなく、さらっと読みたい人向けです。
DNAを国が管理する世界
嵐の二宮が主演をつとめ映画化する聞いたのでとても興味があり読みました。作品の内容は難しくないので本が苦手な方でもすらすら読めるのではないかと思います。DNAを国が管理し、犯罪が起きたら犯人を簡単に割り出すことが出来るようになるという話です。近い未来に本当にありえそうな題材だったので引き込まれるように一気に読み終えてしまいました。もし、自分がDNAをさしだすように言われたら一見自分は犯罪を起こす訳がないので提供してもいいように思われますが、その行為は自分と血がつながっている人々の手掛かりを与えることになります。世の中にはいいことなのかもしれませんが、私は少し怖くも思ってしまいました。