魔法使いの弟子たちのあらすじ・作品解説
魔法使いの弟子たちは、井上夢人の作品である。月刊誌「小説現代」2008年5月号から2009年11月号まで1年半連載され、2010年4月に講談社から四六判単行本として刊行された作品である。 致死率100%に近い新興感染症が山梨県内で発生した。 週刊誌「週間エタニティ」の記者である仲屋京介は新興感染症に取材中に感染してしまった。感染者は400名近くまで増え、死者も続出していた。竜脳炎感染者で意識が戻ったのは京介を含んだ3名のみであった。3人で隔離生活を続けていたある日、不思議な後遺症があることに気づき…。 井上夢人は1950年12月9日生まれである。徳山諄一との共作筆名・岡嶋二人で作成した「焦茶色のパステル」にて第28回江戸川乱歩賞を受賞し、続けて日本推理作家協会賞、吉川英治文学新人賞を受賞するなどコンビで活躍していたが、「クラインの壺」にてコンビを解消し、1992年に「ダレカガナカニイル…」で再デビューした。
魔法使いの弟子たちの評価
魔法使いの弟子たちの感想
新しい「超能力モノ」か? パニックストーリーか?
致死率100%の新興感染症“竜脳炎”から奇跡的に生還した3人。病院内で隔離生活を続けるなかで、「後遺症」として特殊な能力をそなえてしまったことに気づくが…。という、超能力がらみのお話です。近年、著者は特殊能力に関心が高いようですね(「オルファクトグラム」という超嗅覚の話がありますが)冒頭から突然話がはじまり、あれよあれよという間に展開していくので、ついていくのが結構大変です。メディアとの衝突、医療関係者との対立など、考えられうる障害が次々立ちはだかってきますが、能力者三名のキャラの違いが少しふんわりしていて、そこがちょっと不満です。特に女性キャラの描写が、なんとなくステレオタイプなふうに見えてしまいます。