世界から猫が消えたならのあらすじ・作品解説
世界から猫が消えたならは、2012年10月8日よりLINE初の連載小説として配信され、2012年10月にはマガジンハウスから、2014年9月には小学館から書籍が刊行された、川村元気著作による小説である。 脳腫瘍により余命が僅かであることを突如宣告された、猫と暮らす30歳の郵便配達員の男が、この世のものを一つ消す度に一日命を延ばすことができるという悪魔との取引を交わすことで起こる、7日間の様々なできごとを描いたストーリーで、物が消えることで、あらためて物の大切さや価値について考えさせられる哲学的内容の小説となっている。 LINEの公式アカウントの読者登録者数が30万人以上、書籍の売り上げも10万部を突破している、人気の作品であり、2013年には本屋大賞にノミネートされ、8位にランクインするなどの高い評価も得ている。 また、2013年7月20日にはNHKのFMシアターで、妻夫木聡や貫谷しほり出演によるラジオドラマ化もおこなわれた。
世界から猫が消えたならの評価
世界から猫が消えたならの感想
1日延命する代わりに、何か一つのものを世界から消し去るとしたら
あなたがもし延命のために消すとしたら何を消しますか?本書の中では「電話」「映画」「時間」を悪魔との取引きで消し去ります。最後に「猫」を消すのだけは拒否しました。実際に同じことが身に降りかかるとどうなるのか考察してみましょう。「電話」が消えたなら現在、スマートフォンをはじめ電話は生活に欠かせない必需品になっています。本書の中でも連絡が取りあえず待ち合わせがうまくいかない場面も出てきます。しかし、この「電話」が消えるという現象。どこまでのものが消えるという設定になっているのでしょうか。大学時代を思い出しての電話の話や待ち合わせの話、電話というか通話としての機能に対してしか描かれていないように感じます。たとえばタブレットは?パソコンは?メール機能のあるものはどうなのでしょう。現在、「電話」を「電話」として使っている人は少ないように思います。メールやLINE、インターネットにYouTubeやゲームなどのア...この感想を読む
自分の命と引き換えに世界から猫を消しますか
斬新なキャラ設定この小説は主に余命宣告をされた主人公の人間関係を描いたストーリーになっており、出てくる人物はひとりひとりとてもユニークで愛着のわくようなキャラになっています。何人かのキャラクターの中でも最も強烈な印象を与えるのはやはり、主人公「僕」にそっくりな見た目をもつ悪魔、通称「アロハ」です。見た目は同じでも、真面目な主人公とは全く逆の性格で、一人称は「アタシ」、時々駄々をこねたりなど、とても悪魔とは思えない部分があります。ただ時々悪魔らしい冷酷な一面も見らます。このつかみきれないアロハの性格が、物語の一つの見どころでした。猫好きはもちろん、そうでない人の心をも掴む飼い猫キャベツの言葉物語のカギは、やはり「猫」です。主人公は「キャベツ」という猫を飼っておりずっと大切にしていましたが、ある時悪魔に、自分の命と引き換えにこの世の中から猫を消すという取引を持ち掛けられます。するとキャベツ...この感想を読む
普通…かな
前から本屋で見かけるたびに気になっていたので、ようやく入手して読んでみました。誰かの感想にもあったとおり、本当にサラサラッと読めてしまいました。内容は、平凡なごく普通の青年の一週間のお話。ただし、病気で一週間後には死んでしまうことを突然医師に告げられます。そんな深刻な事態となるのですが、文章がとても軽やかでわざと可笑しく書かれているので、ちっとも重苦しい気分になりません。本当にサッパリ読めちゃう。けど、随所随所にじわっとくるシーンもあったり…。結論としては、普通の純文学です。私はそう感じました。リア充嫌悪な方や、タイトルにある猫との深い関わりを期待される方にはオススメしません。