思いがけない結末が楽しめる良質のサスペンス
余計な音楽がないということの良さこの話は、インサイダー取引で逮捕された夫が釈放されるところから始まる。夫の服役中も頻繁に面会に行っていた愛らしい妻であるエミリーが実は重度のうつ病で、たびたび自殺未遂を起こすと分かるのはその後だ。それまでは、刑務所の夫に会う時も釈放された時も、いかにも夫を案じ愛しているように見えたので、そのいきなりの自殺未遂はまるで夫が帰ってきたせいかのように見えた。また夫がエミリーを伴ってパーティに出かけようとした時も、心配する夫を制し自ら強く出席すると伝える。華やかに装った彼女はとてもきれいだったけれど、やはりうつ症状が抑えられず、夫に支えられながらその場を退出する様子はとても痛ましかった。またそのパーティでエミリーがウォッカソーダを頼もうとした時、バーテンの背後のよく磨かれた壁に自分の顔がゆがんで見える。この顔こそ彼女の心象風景なのかもしれないと感じた。この時まで...この感想を読む
3.03.0
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