百万円と苦虫女の評価
百万円と苦虫女の感想
「百万円と苦虫女」レビューと考察
リアルなようで、少しリアルじゃない、ストーリーの魅力ひょんなことから罪を犯してしまい前科者となり、自分を知る人がいないところへ行き、ひっそりと暮らす。このあたりは現実にもあり得る話ですし、女性が何らかの理由で街を転々としていく設定は、日本版の「マイブルーベリーナイツ」といった感じ。想い人に手紙を書くノラ・ジョーンズと弟に手紙を書く蒼井優の印象が重なります。しかし「マイブルーベリーナイツ」では初めから現実的な「街」や仕事を転々としているのに対し、今作では海へ山へ。なかなかできそうでできない場所の選択をしている鈴子を観ていると、つい自分も放浪したくなってしまうような内容です。そして序盤の様子を見ると、「マイ〜」の方が「逃げている」という印象が強く、仕事の中で何かを強かに学んでいくのに対し、今作は地元では「強い女子」のイメージが強いものの、転々とする際は暗に「百万円貯まったという理由を盾に逃...この感想を読む
この映画での蒼井優さんが一番私は好きです
平坦とフラットな感じで進んでいくストーリーなのですが、そのなかに例えば一度過ちを犯したものへの日本社会の冷たさや、現実社会の厳しさも指摘している社会派な部分も隠れている、まさに隠れた名作だと思います。特にこの映画時のどこか不思議ちゃんでミステリアスな雰囲気を醸し出しまくっていた蒼井優さんが今までの映画で一番良かったように思えます。(本当の性格は置いておいて)この鈴子のようなミステリアス雰囲気はすごく合っていると思います。そして森山未來さんの素朴さ。男なら共感してしまうことが多く、青春をセンチメンタルに思い出してしまいました。ラストシーンもそこま大きなアクションはなくあれっ?と終わるのも逆にこの映画らしくて好きです。
現実は甘くない。
主人公が100万円貯めながら各地を転々としていく・・・というロードムービー。蒼井優さん演じる、ちょっとネガティブで器用貧乏な女の子がすごくいいです。地元でもめ事を起こしてしまって居られなくなり、逃げるように各地を転々としつつも人間関係からは結局逃れられない。今の若者の現状を皮肉にしているようにも感じました。この映画のいいところは、とても現実的なところ。終盤、主人公はある街で恋に落ちますが、これでハッピーエンドというわけにはならない。街から去る決意をして、それを彼が追いかけるシーンでは結局二人はすれ違ってしまう・・・それでも、彼女はまあいいか。と次に進む。人生や現実なんて、こんなものかもしれないと思わせる深い作品でした。