アヒルと鴨のコインロッカーの感想一覧
映画「アヒルと鴨のコインロッカー」についての感想が7件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
牛タン弁当食べたい
一人のブータン人を巡る、せつない愛と復讐の物語。仙台の大学へと進学し、東京から引っ越してきた主人公椎名。引っ越しの片付けをしながら口ずさんでいたボブ・デュランの歌をきっかけにして、同じアパートの隣に住む河崎という、ちょっと変わった男と出会う事になる。出会った初日に、一緒に本屋を襲わないか?と誘われる椎名。常識的に考えて、一端は逃げるようにして断った椎名だったのだが?名演技の光る主人公椎名役の濱田 岳は、この映画で、第22回 高崎映画祭最優秀主演男優賞を受賞している。一応この映画はミステリーに分類されるものになるのだろうか?とにかく、張られた伏線が回収されていく様が観ていて気持ちいい。ただ、一つだけ腑に落ちない点があるのだが、河崎が「ペットショップの店員に気をつけろ」というセリフ。その台詞に至る描写だけは、少し足りないような気がしました。日本らしい日本の映画で、良作だと思います。この感想を読む
少し笑えて少し悲しい映画
予告編の情報だけで観てみました。想像していた感じの映画ではなかったのですが楽しめました。瑛太と濱田岳のやり取りが可笑しくてよかったし、伏線もところどころに散りばめてあります。ストーリー的には少し重めだと感じましたが、全体の雰囲気は好きです。ただ、ブータン人の彼女の行動にリアリティがなく感情移入しにくいのが残念でした。ヒロイン以外のキャストはどれも良く、ハローバイバイの関もなかなか頑張ってます。関が笑いながらペットを虐待するシーンではかなりの憎悪感がありました。いい映画でしたが楽しめるのは初観だけでネタバレすると二度目は観れない映画だと思います。
クスクスと
爆笑はしませんがクスクスと笑ってしまうシーンが数多くあります。でも全くコメディー的な映画ではなく色んな者へのそれぞれの愛の形が詰まっていて、愛情の伝え方は人によっても違うし伝える相手によっても変わるもの。その愛の受け取り方も人それぞれでその理由もじんわりと教えてくれる様な作品だと私は思いました。終わりに向かっていくにつれてどうして序盤の様な内容になっているのかが解き明かされる様な感じでワクワクしたり切なくなったり驚かされたりと感情を忙しくさせてくれます。キャストもとても良かったです。瑛太はあまり好きではなかったのですがこの作品を見てなんかいいなぁと思ってしまいました
ボブ・デュランに包まれる
原作も読まずに、予告編だけに惹かれて鑑賞。よかった、劇場で観られてよかった。ボブ・デュランが頭から離れない。最初は何も構えずにラクに見ていた。、本屋を襲撃して広辞林を盗もうとするとか、教科書が盗まれているとか、まさかそれが大きなことにつながるなんて思いもしない。徐々に疑問が解かれていくと、切ない悲しさに締め付けられる。音楽をテーマにするとミュージックビデオのようになってしまうことがあるけれど、話の軸がしっかりとしているので浮いた感じがしない。この作品で伊坂幸太郎作品の映画化は面白いと思ったから、『重力ピエロ』と『ゴールデンスランバー』も映画館に見に行けた。
じわぁ~と心にしみこんでくる日本映画らしい日本映画
伊坂幸太郎さんの同名小説の映画化で、物語の性質上映像化は不可能と言われてきましたが、見事なまでに良い意味で想像を超える出来だった作品。主人公の瑛太さんと濱田岳さんがイメージ通りの役柄で見事にはまっている感じです。特に濱田岳さんはこの後、中村義洋監督作品の常連になるくらい気に入られたのではないでしょうか。フラッシュバック型で物語が進行していくので、一番面白いのは2回目の上映かもしれません。特に原作を読んでいない方は、想像を超えるどんでん返しがラストに待っているので是非、小説を読む前に映像を観ることをおススメします。観終わった後、自分はアヒルなのか?鴨なのか?それとも傍観者タイプか、どれだろうと考えたくなります。音楽もボブジュランの「風に吹かれて」が主題歌兼物語を左右する劇中歌で、ついつい口ずさんでしまいたくなります。とにかく終わりには心はじわぁ~と温かくなる名作だと思います。この感想を読む
伊坂幸太郎さんの大ファンになりました!!
この作品を見るまで、伊坂幸太郎さんの存在を知らなかったのですが、一気に大ファンになりました!! 伊坂幸太郎さんの作品は仙台は舞台になっているものが多いということで、こちらの作品も仙台の町並みがたくさん映っていました。予告編をまず見て、“本屋襲撃”!?“広辞林”!?“隣の隣はブータン人!?”このキーワードがどう結びついていくのだろう?!そして、タイトルも不思議だったので、実際に見た際の衝撃は大きかったです。 特に“隣の隣はブータン人”の真相が分かった時の衝撃は凄かった。。 かなり悲しいストーリーですが、とっても大好きな作品になりました。 コインロッカーも、とっても重要要素のひとつ! 神様を閉じ込める為に☆是非たくさんの方に見ていただきたいです。 濱田岳さんが、とってもいい味出てました☆
トリッキーでせつない世界に引き込まれる
伊坂幸太郎の原作の本が好きだったので、映画化されて幻滅しないといいな、とちょっと不安に思っていましたが、見事にその不安ははずれていて、とても良くできている映画でした。瑛太の演技も良かったのですが、伊坂幸太郎映画ではおなじみの濱田岳がやはりいい味を出しています。ソフトな全体を通して、シュールな雰囲気が漂っている映画なのですが、松田龍平や大塚寧々がちょっとピリッとしたスパイス的な存在で、ボブディランの音楽もこの映画を仕上げる重要な役割を果たしています。最後の最後に「え??」とすっかりトリックにはまっていた事に驚き、その驚きの後にせつない気持ちになっている不思議な映画です。