アメリカン・ビューティーの感想一覧
映画「アメリカン・ビューティー」についての感想が6件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
壊れゆくアメリカの家庭を通して現代社会の閉塞感と悲劇性をシニカルなブラック・ユーモアで描いたサム・メンデス監督の秀作「アメリカン・ビューティー」
この映画「アメリカン・ビューティ」は、20世紀が終わろうとしていた時に製作された、アメリカ社会やアメリカの家庭が抱えている闇や閉塞感、アメリカン・ドリームというものの終焉をシニカルに、なおかつ喜劇的に見つめたアイロニーに満ちた刺激的な作品です。 監督は演劇畑の舞台監督出身のサム・メンデスで、彼の映画監督としてのデビュー作で、撮影は今や「明日に向って撃て!」、「ロード・トゥ・パーディション」と本作で3度のアカデミー賞最優秀監督賞に輝く、伝説のカメラマンのコンラッド・L・ホール。 ごく普通の平凡なアメリカ市民として、ありきたりの普通の生活を送る事が、いかにストレスに満ち溢れているのかを、中産階級の家庭を中心に描いていて、リストラという厳しい現実にさらされる中年サラリーマンのレスター(ケヴィン・スペイシー)、何の取柄もない夫にうんざりしながら、自分の理想とするお洒落な生活を夢見て躍起になる妻キャロリン...この感想を読む
揺れる40代、おじさんには帰る家は無い
ケヴィン・スペイシーがこれでドンと有名になりましたね、会社員とか上役を演じると、これほど似合う役者も居ないと思います。大変良く興行収入が上がった作品、スピルバーグのドリームワークスはこれで大変利益が出て、ホクホクでありました。多くの評判を取り、賞も取った作品で、大変多くの人が見たと言うことは、これは馴染みの在る話で、人の心に納得できるモチーフが使われてるのでしょう。安寧の上に立つ家庭、収入が在ると言うことで辛うじて持っている家庭という器が、収入が無くなるというポイントでガラガラと壊れていくのです。父親を馬鹿にしている可愛げの無いティーンの娘、妻は体裁だけを考えて夫に対して感謝も何も無いという設定ですが、何処の家も似たり寄ったりの問題を抱えていませんか。そっとアナタの心に囁きかける、恐ろしい作品です。
シニカルに描く家庭崩壊。
アメリカン・ファミリーの夢と理想をぶっちぎりで打ち破ってくれた本作ですが、これでケヴィン・スペイシーを好きになった人は、私だけではないはずだ(笑)娘の同級生に入れあげ、あのてこのてで恋を成就させよう、ってんですが、カラダを鍛えたり、どうもその「努力」の方向性が妙なところに、劇場では失笑が起きてました。その、惚れられちゃったアンジェラの方の実像を織り込みながら、薔薇に埋もれた裸身を見せたり、妄想が爆発する映像を真顔でやってのける、イギリス風なシニカルな感覚が、映画の随所に光ります。お隣さんのフランク大佐の狂気の感じも、その説明のなさがゆえに、かえって怖い。笑いながら見た後で、はー…と笑いが醒める映画です。
現代の家族にありがちな「家族ごっこ」
広告会社に勤務していた冴えない中年男のレスターは、数日前リストラ宣告を受けたばかり。ある日、娘の友人アンジェラが非常に美しく、恋心を覚えてしまった。自分の妻は見栄っ張りでもう自分に見向きもしない。ある日娘とアンジェラが泊りに来たとき、レスターの筋肉がついたら抱かれてもいいと正気の沙汰とは思えない告白をするが、それを盗み聞きしていたレスターは本気にし、翌日からランニングを始め、広告会社を辞職し開き直って上司を脅して退職金をぶんどってしまう。バーガーショップでアルバイトを始めるなど妻は夫の奇行が気になって仕方ない。ある日妻は仕事の同僚とふとしたきっかけで仕事上のライバルの男性と不倫関係に陥ってしまう・・・・・・。現代における互いの実態を何も知らないけど、とりあえず一つ屋根の下に一緒に生きているだけの歪んだ家族をよく表している作品です。この作品の見所は、冴えないレスターが努力を重ねて顔つきも...この感想を読む
内容はわかりやすいが理解にはどうでしょう。
この映画のストーリーはかなり複雑で、花を象徴した物語です。かなり見ているとつまらない場面も多く、何がアメリカン・ビューティーなのかわかりませんでした。たまにこのような意味の分からない映画を見てしまうのです。あまり興味はなく時間があったから鑑賞してみましたが、これというところはなく、感想が頭に残るような映画ではありませんでした。一応出て来るキャストは可愛く見ていて飽きない点はそれくらいです。頭に残ってないということはおすすめできないということですが、その時代的社会問題に直面するアメリカ人を見れます。コメディに近いので内容は未定て簡単に理解できますよ。オススメです。
バラの花にはとげがある
家族に疎まれる冴えない中年おやじをケヴィン・スペイシーが演じています。なぜか娘の同級生(なんと高校生)に本気で恋してしまい、妄想を爆発させていく様子はかなり気持ち悪くて笑えます。アメリカン・ビューティーというタイトルには映画中にでてくる真紅のバラの名前でもあり、アメリカそのもの、この映画を強烈に皮肉ったものとも言えます。この映画に出てくる人たちは、表面的には成功しているアメリカの中流家庭そのものであり、しかし表面下ではみな問題を抱えています。個人の問題でもあったり、家庭の問題でもあったりします。日本人には少し理解に苦しむ部分が多いですが、私はコメディとしてこの映画をかなり面白く見ました。