カトリックと仏教とヒンズー教という三つの宗教を通して、人間の死生観を深く厳しく掘り下げた作品 「深い河」
日本映画の監督の中で、ずっと追い続けている人がいます。その監督の名は、熊井啓です。1964年の監督デビュー作の1948年に起こった東京・椎名町の帝国銀行支店の行員12名毒殺事件をセミ・ドキュメンタリー的な手法で追求した「帝銀事件・死刑囚」、二作目の「日本列島」は、前作のテーマと方法を更に突き詰めたもので、帝銀事件に引き続いて起こった占領下の謎の事件である下山、三鷹、松川事件から、更に占領終結後にも起こっているニセ札事件、スチュワーデス殺人事件とその容疑者であった外国人神父の国外逃亡などを、アメリカの情報機関の謀略として追及したミステリー的な社会派ドラマなどを立て続けに撮り、当時、松本清張の「日本の黒い霧」のようにアメリカの謀略を追求するノンフィクション文学作品が現われはじめていたとはいえ、まだ後年のようなCIAの活動の本格的な暴露などの行なわれる以前であり、当時の映画としては極めて野心的な作品だった...この感想を読む
4.54.5
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