告白の感想一覧
映画「告白」についての感想が12件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
最後の最後までオチが分からない湊かなえさんらしい作品
映画「北のカナリアたち」やドラマ「夜行観覧車」などの原作でも知られている湊かなえさん原作らしい、最後の最後までオチが読めない体の真からゾクゾクする感じはさすがだと思います。当時、各映画賞を総なめにしただけあって物語の構成から、キャストの演技まで非常に練り込まれていてあっという間の2時間だったように思えます。特に主演の松たか子さんの演技は凄い。顔に表情がなく何を考えているのかが分からない女教師を演じていたのですが、本当に上手に演じていてさすがのサラブレッドだと思います。「告白」がはまった人は映画ではないですが、WOWOWで放送されレンタルもしている小泉今日子さん主演の「贖罪」もかなり面白いのでおススメです。
復讐劇
松たか子のほとんど感情が現れない表情がとても怖く、心に抱える深い闇をよく出しているなと思いました。さすがです。森口先生が自分の小さな娘をクラスの生徒に殺され、眉一つ動かさず復讐する様は本当に怖かったです。元々荒れていたクラスが、森口先生の復讐によって、その恐怖を隠すように一つになり、そして森口先生の娘を殺した生徒2人へのいじめへ形を変えていく。悪事を働いた人間を集団で糾弾する姿をネットでもよく見かけますが、彼らとこのクラスの生徒がダブって見えた人もいるのではないでしょうか。自分が正義を行っていると思い込み、人を崖っぷちへ追いやって行く。何の解決にもならないのに。とても怖い映画でした。木村佳乃が演じていた娘を殺した生徒の母親役も怖かったなぁ。松たか子も木村佳乃もいい女優さんだと思います。
現代社会の心の闇。
シングルマザーの女教師、森口が教室で語りだした事実。それは、学校のプールで事故死したと思われていた彼女の娘が、このクラスの生徒に殺されたというもの。そして、彼女は恐ろしい復讐を残して学校を去った・・・冒頭から、松たか子さんの淡々とした語りが始まります。この語りが冷静すぎて、怖い。映画の表面だけを見れば、彼女のただの復讐劇のようですが、テーマは人間の心の闇の部分を深く描いているような気がしました。色々なものが欠如している現代の人間は、それを他者で埋めようとしながらも肝心なところで拒否して相入れない。それが、精神を病ませ、やがて人を殺すという行為に繋がる・・・過剰演出な部分もありましたが、色々なことを考えさせる作品でした。
教師が我が子を殺した犯人を捜す衝撃作。
中学生の担任で我が子をプールで殺されてしまった主演の松たか子が、自分のクラスメートの中から犯人を探し、復讐をするといった衝撃作品。クラスメートの様々な人物の視点を中心に物語が進んでいき、「最近の中学生は・・」と言ってしまうような様々な視点が描かれています。若干のグロイシーンや汚らしいシーンなどがありますが、無表情の松たか子が更に恐怖心や復讐心が出ているのが印象的でした。犯人を見つけだし、復讐することができるのですが、生徒の弱みをついた「あっ」と驚く復讐劇にはビックリしてしまいました。今では主演くらすの岡田将生や芦田愛菜の演技にも注目の作品です。
ゾッとして、ジーンとします
原作を読んでいたので、すごく楽しみにしていた作品。ストーリーを知っていたけど、どんな風に仕上がるのか、期待していました。そして、期待以上の出来に感動しました。物語は先生の「自分の子供が、学校の生徒に殺された」と告白から始まる。 その後、それぞれの人物の告白が語られていくが、あっという間にラストへといってしまう。 ただの暗くて怖い映画になってしまいそうな話しなのに松たか子さんの演技に一気に吸い込まれ、独特の映像の撮り方と音楽の使い方が最後まで緊張を途切れさせせません。暗くてスローな感じなのに、テンポがいいというか。人は、ここまで恐ろしくなれるものなのかと想像させられます。
ラストを決めるのは自分自身
人間という生き物は不思議なもので何かによって自分が動かされていると思っていても、それは実は自分の為だけだったりするものでこの作品もみんながみんな自分自身の為だけに行動していてその事にも気付いていない状態の人ばかり。自分に振り回される事がまるで仕事なのか?と疑問に思える程振り回せ続けられている人ばかりで切なく悲しくなりました。自分の娘を殺された母親の復讐劇かと思っていましたがそれとは全然違っていて人の命とは一体どういうものなのか?考えなくてもわかる様な事ですがだからこそ普段は深く考えない事を伝えてくれている様な作品です。ラストは見ている人それぞれ違った答えがあるのではないかと思います。
自分の子供の命は他人の子供の命何人分か?
作品に入り込む準備的な物もないままいきなり物語は始まる「自分の娘が自分の受け持っているクラスの生徒に殺された」と教師が告白するその告白をうけて生徒達の生活が少しづつ変化しその教師は娘の命を奪った者へ復讐を開始するこの映画の中に現代のいろんな問題が詰め込まれている様な気もしますどの問題も重要なもので作品にひき込まれてはいるもののどの役にも感情移入する事はできなかった。誰の味方にも付き難い…残酷でグロイシーンもいくつかあるのでそういう映像が苦手な人には観る事をオススメしません原作も読みましたが十分楽しめる作品でした音楽もとても良かったです
手に花束を 心に時限爆弾を 体罰だけではないやり方が在る
コンビニに行ってどんなに小さな子供でも店員に「ありがとうございました」と頭を下げられる。親は学費を払っているのだからと、先生に対してサービスを要求する。先生は給料を貰って先生をしているのだから、自分たちはサービスを受ける権利が在ると思ってしまった子供たちが居る。母親には子供と言う自分が居るから、家で主婦やってる貴女から子供で在る自分に対してサービスをしろと要求する。学校を出た子供たちは、自分が受けてきたサービスをする側に成る。金の為には、他人に頭を下げて、心を傷つけないようにビニールコーティングしていないと辛い。ゆえに若い女の子の鼻声は、自分と言う者を消す選択なのだ。人形のように何も感じなくなるように、同じ姿で同じ声で話し同じものを選択する。この映画は久しぶりに見た日本の名作である。
この年代だからこそ残酷なものがある
プールでの事故死とされた娘を「本当はこのクラスの生徒に殺された」と告げる森口。学校を辞めることでその事故のこと、そして犯人のことを全てを話し、そして復讐へと走り出す。森口の娘を殺した少年2人。この2人がやったことは許されないことだが、少年法という法律で守られているのは事実。その犯人を知ったクラスメイトは彼らを標的に残酷なことをどんどんと繰り広げるが、新任の教師はそんなことも気づかずクラスをまとめようと1人で空回りするばかり。この若さだからだろうか、生とは?命とは?ということに全くといって執着心を持たず簡単に人を殺めてしまうのが地味に怖かったです。結局、この事件に関わった4人は誰かを失ってしまったり、命を失ってしまうという終わりだったが、残されたものは何かを背負って生きていかなければいけないというまた違った残酷さがこれからも続くんだろうなという感じでした。
それはラストシーンの一言に象徴されている
命は重いか、軽いか。その答えは、みんな知っています。重い(と言わなければいけない)ことくらい、みんなわかっているのです。でも、なぜ人を殺してはいけないのか。一度くらいは疑問を持ったことありませんか。私は自分が本当の意味でその答えを知っているのかどうか、正直分かりません。この作品は、「命は重いんだよ」と言っているのではなく、軽くないとしたら重いのか?とでも問いかけているように感じました。子を殺された母親。母を殺す子。殺すことで母の愛を獲得しようとする子供。いずれも母と子の関係性の中で、命の重さに関する問いと闘っています。ある人にとっては重い命が、別の人にとっては軽い命で、「命の重さを知ってほしい」と言っている先生ですら、殺されたわが子のために誰かの命を軽んじる。家族殺しの少女に憧れる女生徒、ミズキは自分の命の重さも分からなかった。でも、それが人間の動物的な自然さだと思います。だからこそ、...この感想を読む
視覚的に楽しめる作品
最初に小説を読んで映画を鑑賞。小説と違うところはあるけれど、映画は映画でおもしろかった。中島監督はやっぱり映像が巧い。今回は今までのような豊かな色彩は使われていないが、その分充実されたカット割りや撮り方に魅了される。やっぱり視覚的に楽しませることが巧い。そしてしっかりとした脚本がストーリーを引っ張っており、まるで無駄がない。見入ってしまったからか、疾走感があるようにも感じた。学生を含めた役者全体のレベルも高く、全体的なバランスがいい。森口を演じた松たか子もいつもと違う雰囲気を演じきっているし、少年Bの母親を演じた木村佳乃も怪演。どの角度から見ても抜けはないと思う。
誰も救われない。。
原作が2009年本屋大賞を受賞したという事で、小説を読んでから映画を拝見しました。中島哲也監督の色鮮やかな映画のイメージとはまた違い、何とも映画の暗い内容にあった映像美が新鮮で良かったです。はじめ、松たか子さん演じる教師森口が、生徒達を目の前に、名指しはしないものの、皆が誰だか分かるように犯人のした行い、素行を話しますが、そのシーンに使われていた音楽がとても明るい曲で、森口の表情、内容とのギャップがまた怖さを強調してました。 また、少年Aの修哉クンの生い立ちが、こんなにも彼の人格を狂わせてしまったのかと思うと、何とも心が痛いです。 原作では、1つの章ごとに、別々の登場人物からの視点で物語が書かれている形になっていて、そこも大変面白いポイントでしたが、映画だとやはりそういう進め方は出来ないのかぁ。と。省かれている点もあり、私は小説派だなぁと感じました。ただ、最後のクライマックスの爆発シーンな...この感想を読む