ドクター・スリープの評価
ドクター・スリープの感想
映像的な描写とスリリングな展開に引き込まれる大作
「シャイニング」の続編この物語は「シャイニング」の続編にあたるものである。それを知った時私は「シャイニング」を読んでいなかった(映画だけは観たけれど、それほどその恐怖が理解できなかったことを覚えている)ので、ストーリーがわからなかったらどうしようと少し残念に思った。だけれどもそれを読んでいなくとも十分話は理解できたし、この「ドクター・スリープ」は、全く新しい展開になっているので何も問題はなかった。メインの登場人物は「シャイニング」当時は少年だったダンが36年を経て大人になっている。彼が主人公なのだけど、年をとるにつれ強力になってくる能力「輝き」に悩まされ続け、アルコール中毒のくたびれた大人に成り果てている。物語はここから始まる。スティーブン・キングの作品には時々このようなアルコール中毒の人物が登場する。上手にお酒に付き合っているという描写はあまりなく、お酒好きな人物は大体がAAのお世話...この感想を読む
シャイニングの真価が問われる
キングはモダン・ホラーかキングの作品に最初に出会ったのは「ダーク・ハーフ」だった。紡がれる言葉の巧みさと、畳みかける物語の強さに引き込まれ、あっという間にとりこになってしまった。ダーク・ハーフは、作家が生み出したキャラクターの痕跡が、現実のあちこちで見つかるという非現実的なストーリーだが、それがすさまじいリアリティをもって感じられ、鳥肌が立つほど怖かった。キングはモダンホラーと分類されているが、この「ありえない現象を書いても荒唐無稽でなく、日常的とさえ感じてしまう」実力は、SFといってもいいのではないかと私は思う。ドクター・スリープにたどりつくまで以来、キングの本を片っ端から読みあさった。IT、ミザリー、キャリー、ローズ・マダー、図書館警察、ゴールデンボーイ…そして、シャイニング。本作の先行作品であるシャイニングは、やはりキングの素晴らしい描写力で、背筋が凍るほど怖い思いをした。しかし、映...この感想を読む