薬指の標本の感想/考察/ネタバレ

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小説レビュー数 3,368件

薬指の標本

4.174.17
文章力
4.88
ストーリー
4.30
キャラクター
4.13
設定
4.38
演出
4.25
感想数
4
読んだ人
3

薬指の標本の感想一覧

小川洋子による小説「薬指の標本」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。

ホラーチックな恋愛小説

ぐいぐいと引き込まれる文章力淡々とした文章なのに、どんどんと読み進むことのできる作品です。引き込まれる文章力は、作者である小川洋子さんの力量だと思いました。その文章は、なめらかな文章ではなく、過去系を連続で使っている部分が多いので、今起きているという実感ではなく、まるで夢の中に引き込まれる感じです。本来ならば、淡々とした文章なので退屈さを感じさせるはずなのに、その世界の内側まで手を引いて連れて行かれるという感じです。「薬指の標本」では、主人公が最後まで自分の感情におぼれる事無く、男を愛し続ける女性の話。薬指が欠けてしまった主人公は、その時に心の中にある何かが、欠けてしまったんだと思う。たぶん痛い、怖い、悔しいという感情だと思う。感情を無くしてしまった彼女は、理性が光って魅力的な所もあるけれど、標本になることを拒まなかった愛は、やっぱり異常で気持ちが悪い。 和文タイプの字を拾う場面が印象...この感想を読む

4.24.2
  • mayurinmayurin
  • 1176view
  • 2132文字

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