判っていても見事な叙述 - 葉桜の季節に君を想うということの感想

理解が深まる小説レビューサイト

小説レビュー数 3,368件

葉桜の季節に君を想うということ

4.254.25
文章力
4.25
ストーリー
3.88
キャラクター
4.13
設定
4.25
演出
4.25
感想数
4
読んだ人
6

判っていても見事な叙述

4.54.5
文章力
5.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.5
設定
5.0
演出
4.0

この作品は、叙述トリックの作品です。 そう説明するしか術がないところが、叙述トリックを主題にした本の難しいところだと思う。 ただ、この作品は、それをあらかじめ言われていても、その最後の衝撃の鮮やかさは少しも削がれることがないところが、叙述トリックの中でも素晴らしい作品だと思う。 叙述トリックと知ってしまったからには、読み手はもうすでに罠にはまってしまっているのだが、ライトでフランクな文体と、軽いハードボイルド的なアクションで進むストーリーに、気がつけばどんどん読み進めてしまっているだろう。普通に話が面白い。 この作品の最大の罠はそこで、最後の一撃はひっくり返せそうだったからやってみました、というお茶目なサービスにも思えてしまうところだ。 ところがそんなことはなくて、作者の歌野晶午は最初から計算しており、読み返すと伏線があちらこちらに見つかってくる。騙されるため、騙されたあとは確認のため、ぜひ2回は読んで欲しい作品だ。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

感想をもっと見る(4件)

関連するタグ

葉桜の季節に君を想うということを読んだ人はこんな小説も読んでいます

葉桜の季節に君を想うということが好きな人におすすめの小説

ページの先頭へ