延々と続けさせられた作品ながら
作者はすべてが収束するフリーザ編で終わらす筈が、掲載紙の看板を張る人気により継続させられ、整合を欠く結果となったのは否めない。
当時地球最強の孫悟空とピッコロの暫定(呉越同舟とも)コンビでもラディッツに敵わなかった時のように強さのインフレを感じさせた、フリーザに勝った超サイヤ人も人造人間には敵わなかった件だが、フリーザは普段から戦闘力が53万あり、かつ三度変身してその度に強くなる。サイヤ人編ではまだ宇宙を含めた世界観は明らかになっていなかったので、宇宙は広いと漠然と思った。しかし12万のギニュー(精神と一致しなくとも戦闘力がそれだけある、あの紫の鬼のようなボディの元の持ち主は53万以上ではないかというのは置いておく)が隊長を務める特戦隊が突然変異で生まれた天才集団、宇宙中から集められたという。地球の科学で常人がそこまで強くなれれば、科学文明の発達した星はどこでも戦闘力5の者をフリーザ以上にできると思う。それとインフレ歓迎の戦闘力考察サイトでもメカフリーザの戦闘力は倍にもなっていない。
サイヤ人編ではべジータの1万8千が最高、大猿の時も18万(因みにパワーボールと酸素による月では伸び率はやや下らしい。実際には15万程か)。超サイヤ人となった悟空と相対した20号(ドクターゲロ)は別次元の強さを見た気がしたように思えず、人造人間編の人造人間で最も戦闘力の低い19号でもフリーザ以上という意見もある。苦しい話の紡ぎ方と言わざるを得ない。
ブウ編では界王神の言葉からフリーザ並の実力者はそう珍しくないことになった。ああも宇宙最強にフリーザが拘泥していたのは何なのかと思った。それと仮にもブウ対策を構じた界王神が一撃で倒せるフリーザを放置していたことにもなった(どちらも宇宙の無辜の民を殺めていたことに違いはない)。人造人間編で1億歳以上の(北の)界王は地球に大変なことが起きるといったが、太古の昔のブウを思えばどの星にも云える。
ともあれ、作者の力量で読めるのは確か。担当の発言で敵が転々とした人造人間編も苦しいと思わせない。純粋ブウとの決着時のべジータの台詞も忘れられない。
連載終了後作品世界はさらに(無茶な)広がりを見せる。老界王神をゼットソードに封印した相手については悪さについてはブウ程でなかったという擁護もある。しかし「ドラゴンボール」の世界観では敵の悪さと強さは同義。ファンなればこそ、苦しい擁護はよしてほしい。
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