他のアクション映画との違い - イコライザーの感想

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他のアクション映画との違い

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
3.5
演出
4.0

目次

一般的な生活の中の度を越えた几帳面さ

他のアクション映画でも、主人公たちは何もなければ普通に暮らしているわけですが、イコライザーは、諜報機関から引退しているという設定のためその普通度がより高く、真面目に働くのはもちろんのこと他のスタッフとも愛想よく馴染んでいます。しかし、一般的な生活を送ろうとすればするほどイコライザーの奇異な様子が浮かび上がってきます。

無駄なものを一切排除した部屋や、自分のルーティン通りにきちんと行動するというのは、主人公のキャラクターとしてそれほど珍しくないのですが、行きつけのダイナーにティッシュで包んだティーパックを持っていったり、謎に時間を測ったりするのは他のアクション映画にはない描写です。

自発的な始まり

ヒーローもの以外のアクション映画は、誰かに頼まれたり、主人公が事件に巻き込まれたりして始まっていくものが多いですが、イコライザーはヒーローのごとく、黙っちゃいられないと自ら立ち上がります。

マフィアへの態度

敵と対峙するのは、戦う時や捕まってしまった時がほとんどですが、イコライザーの場合は、交渉するためにお金を持って相手の陣地に乗り込んだり、面と向かって話すためにレストランに行ったりと、初めから戦う前提ではない状態で敵の前に姿を現します。とは言っても、結局そこで皆殺しにしたり、潜入するために殺害したりしているので、これらの描写は緊張を際立たせるための緩和のように思います。

また、最初にマフィアたちを殺すシーンでは、何秒かかるかを予想し、殺し終えたところで数秒オーバーしていたことをぶつぶつ言っています。イコライザーの場合、敵を倒すことが目的ではなく、倒すことは当たり前で自分の実力を確認するためのタイムトライアルに見えます。

目玉になりそうな場面を省く

イコライザーの戦うシーンは最初と最後のホームセンターだけで、他の敵を倒すシーンはほとんど省略されているか、短く終わっています。確かに、主人公が勝つことはわかっているし、アクションも出尽くしてる感があるので毎回描く必要はないと思いますが、タンカーを爆破するまでの経緯も省略していることには驚きました。これが「007」や「ミッションインポッシブル」なら必ず描くであろうシーンです。しかも、イコライザーの場合、チームではなくほぼ単独なので驚きもひとしおです。

ただ、ホームセンターでの格闘を観ると、極力余分なものは省いてこの場面に集中させたかったんだと思えます。ホームセンターのありとあらゆるものを使って攻撃していくので、ホームセンターへの見る目が変わった観客は相当たくさんいると思います。

強すぎる

ホームセンターでの格闘でもケガをしたり、その前のシーンでも太ももを撃たれたりしているのですが、主人公だから最終的に勝つと言う設定以前に、そもそも相手に付け入る隙を全く与えない強さを感じます。ここまでの圧倒的無敵感は、「オンリーゴッド」でライアン・ゴズリングがやられてしまう中国人や、「ザ・レイド」で一人で縦横無尽に動き回り殺しまくっていた東南アジア人以来です。「オンリーゴッド」と「ザ・レイド」とイコライザーの強さの比較は大変難しく決めかねますが、タンカーを爆破したことを考えるとイコライザーが一番スケールが大きいと言えます。

主人公の色恋の場面がない

先ほど例に出した「007」はプレイボーイが一つの売りなので別にしても、「ミッションインポッシブル」でも、恋に発展しそうな雰囲気を出したり、その他のアクション映画でも濡れ場があるものが多いですが、イコライザーはその気配すらありません。あくまで、人身売買の少女を救うために奮闘します。そして、解決したらその少女と交流すら持とうとしません。もしかすると、亡くなった奥さんが読んでいた本を読むことで事足りているのかもしれません。

この道で生きていく

主人公の能力があれば、どの業種でも会社でも働けそうですが、それではきっと主人公の心は死んでしまうのだと思います。それは、今回のマフィアとの戦いによって、不眠症だったのに眠れるようになったり、ラストシーンで助けてほしいというメールに対して「Yes」と答えている様子は、水を得た魚です。

主人公は成敗することが生きがいといっても過言ではありません。亡くなった奥さんのために、今まで我慢してやらないようにしてきたけれど、能力の高さを生かし、かつ興味のあることの両方を満たすのは、困っている人を助け、悪者を退治することしかなかったと考えると、お金を持ってマフィアのところに行ったのは、戦いを避けようとして相手にチャンスを与えたけれど、呑まなかったという亡くなった奥さんへのアリバイ作りにも見えてきますし、マフィアとの本格的な戦いの前に、CIA時代の友人に許しをもらいに行ったことの意味がより大きくなります。

自分の能力を存分に発揮することを選んだ主人公は、これまで以上に強く積極的になると思うと、たった一人でも、一国を転覆させることもできそうと思ってしまいます。

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