涙なしでは観られない成長のドラマ - 僕の歩く道の感想

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僕の歩く道

5.005.00
映像
4.50
脚本
4.75
キャスト
5.00
音楽
5.00
演出
4.75
感想数
2
観た人
5

涙なしでは観られない成長のドラマ

5.05.0
映像
4.5
脚本
4.5
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

兄弟の素晴らしさに涙

はぁ~、すごく良かった。何が良かったって草彅剛さんの演技に尽きると思う。自閉症という難しい役柄を見事に演じきっていたわ。首を少し傾けて、誰とも目を合わせずに淡々と台詞を語る様子が、印象的。自閉症についての認識も自分なりに改めることができたと思う。今までに、自閉症の人と関わったことがないので、その名前の通り自分の殻に閉じこもって話さないような人を想像していたの。ドラマを観ていて、そういう面もないことはないけれど、ドラマの中の草彅剛さん…テルはツール・ド・フランスに深い興味と知識を示し、ロードバイクを購入し自分で乗りこなす努力をしていた。自分の中の誤解と偏見を訂正したドラマだった。きっと、自閉症と一言で言ってもいろんなタイプの人がいるのだと思うので、一概には言えないけれども。

タイトルも良かった。「僕の歩く道」。急がずに一歩一歩前進していく感じ。今までは「僕の生きる道」、「僕と彼女と彼女の生きる道」と生きること、生き方が主題だったけれども、今回の「歩く」は自分の意志と周りの支えを感じさせるタイトルだと思う。

恥ずかしながら、全11話で全11回泣いてしまった。泣かせようというシナリオが見えているのに、それに乗せられてしまったみたいだけど。一番好きなシーンはお兄さん役の佐々木蔵之介に、昔の運動会の失態を持ち出されたテルが「お兄ちゃんが一緒に走ってくれた」というところ。もう、私は声を出してしゃくり上げていたわ。テルは兄と妹がいる三人兄弟の真ん中という設定だけれども、やっぱり母親の心配を集めるのはテルなので、他の二人…特に妹のリナはさみしい想いをしたんだと想像できる。だけど、自転車屋さんについて行ってあげたり、母親を助けてあげたりして兄の存在を兄として認めているのが微笑ましかった。兄弟っていいなとしみじみしたわ。

一歩踏み出す勇気に感動

職場でも、最初は敬遠されていたり、あきれられたりしていたけれども、きっちり餌の大きさを測ってカットする几帳面なところや、動物の習性をしっかり覚えて子どもの前で披露するなど徐々に仲間に認められていく。問題が起きても我関せずと時間通りにきっちり帰る場面なんかは、あーそういうものなのかなーと不安に感じたりしたけれども。どちらかというと、人の気持ちを忖度しないっていうところがあったよね。言われなくては理解できないというか。だから、そういう予期せぬ問題が起こったらどう対処するべきかきちんと教えてあげることが必要なんだなあと思った。

テルに関しては自分で決めたルールみたいいなものがしっかりあって、どんなことがあってもまず帰ってきて手を洗い、うがいをするとか、部屋がちゃんと整理されていてどこに何があるかを、把握している。そういうルールを乱されると不安に感じるみたいだ。部屋の整然とした様子は見習わなくてはならないと反省したわ。

甥っ子が行方不明になったときは、ここから向こうには行かないと決めている道を、勇気を出して進んで行った。そこも涙なしでは観られない名シーンだった。どこに感情の揺らぎがあるのかがよくわからないけれども、ドラマとしては、視聴者の思いに寄り添ってくる感じが少しいやらしいかなと思った。その術中にぴったりとヒットしたのが私なのだけれども。甥っ子も最初は、テルの金銭感覚の鈍いところを利用して、お金をだまし取ったりする嫌なガキだったけれども、子どもって結局は素直だし、テルは真っ直ぐな心の持ち主だし、そういうところで波長が合うんだな。仲良しになれて良かったよ。ま、真っ直ぐな心だけで生きているのが理解しづらくて、周りはそれに振り回されたりしてしまうんだよね。端的にいうと融通が利かないのは厄介だから。ほら、「カレーはやっぱりチキンカレー」だもの。

調子に乗ったオンナに喝!

こんな素晴らしいドラマの中でも、私をモヤモヤとさせた登場人物がいた。もうお分かりだろうが、香里奈演じるミヤコちゃんなのだよ。ちょっとテルに対して上から目線なんだよね。テルのお母さんから頼りにされているっていうのもあると思うのだけど、自分がいないとテルが何もできないと思っていることを自信にしているっていうか…。嫌いなキャラだったわー。だいたい、不倫して結婚してすぐ離婚ってアレはこのドラマの中で何の意味があったんだろうか。テルを支えていると思い込んでいた自分が実は反対にテルによって支えられていると気づいたということなのだろうか。じゃ、テルに対して恋愛感情はあるのか。そういったことがイマイチ曖昧だった。んー、わざと曖昧にさせている感じもあったのかもしれない。さみしい気持ちをテルで埋めていたのだろうか。それって、テルに対しても、旦那に対しても失礼じゃないかな。ちょっと、求められていることで調子に乗っちゃっている気がしたわ。今後、どうするつもりなのかな。

まあ、気にくわない女の話は置いておいて、ホントに素敵なドラマだったな。SMAPの主題歌も大好きだったよ。でも、このシリーズはもうこれで終わりだよね、絶対。残念だ。

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暖かい物語

2006年フジテレビ系火曜10時のテレビドラマ。「僕の生きる道」「僕と彼女と彼女の生きる道」に続く僕シリーズ三作目。主演は草彅剛主題歌はSMAP「ありがとう」主人公は発達障害(自閉症)がある31歳の青年、大竹輝明。彼の幼なじみである松田都古が獣医として働く動物園で仕事をすることになったテル。周囲の理解を得ながら、少しずつ仕事にも慣れていくテルだが…。テルと家族、職場の人々の物語。このドラマは、人に対しての優しいまなざしを感じる。登場人物一人ひとりの気持ちを丁寧に描いており、それぞれの立場、状況での心理がとても伝わってくる。障害を持つ子を持つ親の気持ち、兄妹の気持ち、職場の人々の気持ち…すべてが痛いほどに伝わってきて、人間がいとおしくなる。不器用だが純粋な主人公テルを演じる草彅剛がとてもいい。SMAPのオーラを消した素直な演技は好感がもて、とてもはまっている。また彼の理解者、都古を演じる香里奈の影...この感想を読む

5.05.0
  • ayaaya
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  • 572文字

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