あきらと店長の恋の行方は - 恋は雨上がりのようにの感想

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恋は雨上がりのように

3.503.50
画力
3.25
ストーリー
2.75
キャラクター
3.25
設定
2.50
演出
2.75
感想数
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あきらと店長の恋の行方は

5.05.0
画力
3.5
ストーリー
4.0
キャラクター
3.5
設定
3.5
演出
3.0

目次

主人公あきらは なぜ店長を好きになったのか?

これはこの作品の最大の謎とも言える。別に店長に魅力が無いというわけでは無いのだか、女子高校生が、中年でうだつの上がらないファミレス店長に恋をするというのは、そうそう無いことだ。

作中では、第1話であきらが店長を好きだと思っているシーンがある。この回では特に店長を好きになる様な出来事は無かったので、これよりも前から好きであったという事になる。

おそらく店長を好きになるきっかけとなった出来事が、第8話で描かれている。この回はあきらがまだ陸上部で短距離走をしていた頃の話。突然の足の怪我で走れなくなったあきら。雨宿りがてら入ったファミレスで物思いにふけっていると、コーヒーをサービスしてくれ、優しく言葉をかけてくれた店長。ファミレスを出て雨あがりの空を見上げるあきらは、少しだけ気が晴れた様な顔をしている。

この出来事だけで、店長を好きになったわけではないと思うが、かなり気になる存在にはなったと思われる。作中で描かれている訳ではないが、この後、家から近くもないこのファミレスでバイトをする様になるのは、明らかに店長目当てである。

しかし、落ち込んでいるときに声をかけてくれたとはいえ、あっさり好きになり過ぎではないのか。女子高校生がおじさんの店員にこんな事をされたら、引いてしまう事の方が多いのではないだろうかと思うのだが、これはまず第一に、あきらがただ単に変わり者だったからだと思われる。

あきらが変わり者、という事は作中で何度か描かれている。第3話では、クラスメイトが持ってきたキャラクターのお土産。あきらが迷わず選んだのはキモカワ系のムキ彦。周りの子たちにあきらのセンス謎すぎると笑われている。

同じく第3話で、あきらは店長のシャツの匂いをこっそり嗅いでいたり、第63話では、店長が使っていると思われる、おじさん臭い香りの代名詞 ヘアトニックを、いい匂いだと思って購入している。

そう、あきらは周りの女子高校生に比べると、やはり趣味がズレている。あきらが店長を好きになった理由のひとつは、あきらの好みが変わってる点だと思われる。

そしてもうひとつの理由は、やはりあきらの「若さ」だと思う。大きな理由があるわけでもなく、ちょっとした事をきっかけに、気付いたら好きになっていた、というのは、やはり若さゆえだ。大人になるにつれて、一目惚れのようなすぐに人を好きなるという事は減っていく。「店長が好き」と、暗示の様につぶやいているあきらを見ていると、大きな理由も無く、好きという気持ちが先に出てしまっていると思う。

以上の事から、あきらが店長を好きになったのは、あきらが若く、好みが変わってるという事が大きな要因だと思われる。

あきらの父と店長に関連性はあるのか?

よく父親ほど年の離れた男性を好きになる女性は、父親がいないため、父性を求めて年の離れた男性を好きになる、という話を聞いた事があるのだが、あきらの場合はどうなのだろか。

あきらは母親と二人暮らしである。父親はいないのかと思っていたのが、あきらの父は普通に生きていた。登場したのは第28話。父方の祖母の家に遊びに行ったあきら。途中であきらの父もやってきた。一緒に食事に行き、近況を話す様子は、近ず離れずといった、割とさっぱりした間柄の様に感じる。あきらが特にファザコンという感じもしないし、父も娘を溺愛している感じもしない。

あきらの父 正志は、顔は描かれていないが、身なりも清潔感があり、落ち着きがあって、単行本のおまけのスペースには、タバコは吸わず10円ハゲも無いと書いてある。

この事から、父 正志と店長は、似ているとこは別に無く、あきらが父と店長を重ねているところは特に無いと思われる。

この回であきらの父についての疑問が解消したのだが、父の顔だけは描かれていないところが、年が近い店長と比べられるのを緩和して、スムーズに読み進める事ができたと思う。父については描かれなくても支障は無かったと思うが、やはり気になったままであったと思う。作者はとても丁度良い描きかたをしてくれたと思う。

あきらはなぜ 足のリハビリをためらっているのか?

今のところ作品は完結していないので今後の展開はわからないのだが、あきらは足のリハビリを始めていない。そしてなぜリハビリをしないかを語っているシーンは無い。

あきらの友達の喜屋武はるかや、あきらの母親、そして店長も、あきらにはまた陸上をやって欲しいと思っているだろう。

そしてなぜ走らないのかと、あきらに最も強く言ってきたのが倉田みずきだ。第45話では、バイト中のあきらの元を訪れ、自分も同じ怪我をした事を告げ、なぜ走らないのかと詰め寄っている。しかしあきらは何も答えない。

あきらが走る事を好きだという事は物語の端々で描かれているし、第53話ではるかが子供の時を回想しているシーンで最も伝わってくる。陸上を嫌いになった訳ではないだろうが、それでもリハビリを始めないのは、予期せぬ怪我がよほどショックで怖いものだったからだろうか。

あきらは記録保持者でもあるようだし、周りの期待も高かったと思う。それなのに、リハビリからの再スタートとなると、元の状態に戻れるかはかなり不安なものだと思う。頑張っても元の様に走れなかったときの絶望感は、優秀な選手ほど大きくなってしまうと思う。

店長には、なかなか積極的にいくあきらだから、行動力がある方なのかと思ってしまうが、陸上への復帰に関しては、臆病な様子になっている。優秀な選手だからこその不安感は周りが思っているよりも大きいのだろう。

きっとリハビリを始めてくれると思うのだが、復帰への後押しをするのは、誰かの言動なのか、それともあきら自身で決めるのかが今後見ものである。

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他のレビュアーの感想・評価

結末に納得がいかない

タイトルの意味恋は雨上がりのように、というこのタイトル。好きだった陸上を諦めてずっと心に雨が降っていたあきらが、店長と出会うことで心に晴れ間が差す、とても素敵なタイトルだと思っていました・・・。そう、思っていました。正直、結論から言って非常に 残 念 な 終わり方をした漫画でした。私自身がハッピーエンド(大団円)が好きだというのもあるが、この漫画に至っては「え?何がしたかったの?」と言わざるを得ない・・・。その理由を記述していこうと思います。これは恋愛漫画だと思っていたまず前提である年の差恋愛で、更に片思いの漫画であることを踏まえてもこの終わり方には 納 得 で き な い !!!この漫画で最初に描かれていたコンセプトとしては年の差、立場や容姿の差、コンプレックスがあると思う。それを乗り越えお互いのことを想っているのに、店長はあきらへの気持ちに蓋をしてしまう。え、なんで蓋した????そ...この感想を読む

2.02.0
  • 芝原芝原
  • 814view
  • 3148文字
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