結末に納得がいかない
タイトルの意味
恋は雨上がりのように、というこのタイトル。
好きだった陸上を諦めてずっと心に雨が降っていたあきらが、店長と出会うことで心に晴れ間が差す、とても素敵なタイトルだと思っていました・・・。
そう、思っていました。
正直、結論から言って非常に 残 念 な 終わり方をした漫画でした。
私自身がハッピーエンド(大団円)が好きだというのもあるが、この漫画に至っては
「え?何がしたかったの?」
と言わざるを得ない・・・。
その理由を記述していこうと思います。
これは恋愛漫画だと思っていた
まず前提である
年の差恋愛
で、更に
片思いの漫画
であることを踏まえてもこの終わり方には
納 得 で き な い !!!
この漫画で最初に描かれていたコンセプトとしては年の差、立場や容姿の差、コンプレックスがあると思う。
それを乗り越えお互いのことを想っているのに、店長はあきらへの気持ちに蓋をしてしまう。
え、なんで蓋した????
そしてこの作品の実写映画のレビューを読んだとき、安易に女子高生に手を出さない素晴らしいおじさんと絶賛されていたのを読んだ。
・・・何を言っているんだ???
これはフィクションだぞ!!!????
それに、もともとそういうコンセプトだったのか?この漫画は!?????
・・・と、私は疑問しか浮かばなかった。
恋愛漫画だと思って読んでみたら最終的に登場人物の成長物語で終わっていて・・・
正直
・・・は??????
と思ってしまった。
そんなものが読みたかったのではない!!!!!!!!!
私は年の差で葛藤する恋愛漫画を読んでいたはずだったのだが!?
なんで最後あきらと店長が
コンプレックスを乗り越えて成長できました!めでたし!
・・・みたいな終わり方をしているんだ!!!???
それにユイの恋愛も結局途中いい感じだったのに振られて終わるとは・・・
正直、何がしたかったんだ?の一言に尽きる。
コンセプト
最初にも記述したが、この漫画のコンセプトは『年の差恋愛漫画』だと認識している。
冴えないおじさんと美しい女子高生との恋愛を描く漫画であるはずが、最終回だけ見ると『二人の成長物語』になってしまっている。
私はもちろんのことほかの読者も、その結果を前提としてこの作品を読んでいなかったはずだ。
この二人の恋愛模様が次第に自分自身へのコンプレックスへの挑戦物語にすり替わっていた・・・
え、そんなことってある!?
二人の恋愛の行く末を見守っていたはずなんだけど!?
恋愛が二の次になってポエム中心になってない!!!!???
・・・という感じで。
少なくとも私は読んでいた漫画のコンセプトとは違った結末になりとてもがっかりしてしまった。
まだコンプレックスを乗り越えて年の差や立場なんて関係なく思いが通じ合うのなら評価は違っただろう。たとえそれが陳腐と言われようとも。
例えば成人してから付き合う約束をするとか、数年経ってから実はあの時好きだったんだと告白するとか、もっと他にやりようがあったと思う。
それが何故、恋愛漫画なのに恋愛面でだれも報われることがなく終わってしまったのか・・・。
恋愛漫画として
まずあきらと店長。
この二人はこの作品のキモであり主人公二人と言ってもよい。
あきらは自分の大好きだった陸上ができなくなって絶望してるときに店長と出会い惹かれていった。
恋をするにはまっとうな理由ときっかけだと思う。
店長はあきらのことは美人でちょっと怖いバイトの女の子だという認識から、あきらに告白されることでだんだん意識していって童心に返ることで明確に好きになっていく。
ここではよい。
とっても良い展開のはずだった・・・。
だけどそれが結末に活かせていたのか?と聞かれると疑問だ。
ここまでの流れで結末に至るまでに悪かったことは、
『店長が自分の気持ちをあきらに伝えていない』
ということ。
あきらは結局、あんなにも自分とデートをしたり、強く抱きしめてくれた店長が、自分のことを好きでも何でもないという認識のまま店長と離れてしまった。
女子高生で若いとはいえその時の恋愛で心が傷つかないわけがない。
それとも大好きな陸上に復帰できたから失恋の痛みなんて関係ないぜ!ってスタンスなの?
それはおかしいだろ!?
陸上>店長だったってこと!?
いや、それはおかしいだろ!?
・・・と、思わず同じことを二回もつっこんでしまうくらいには信じられないほど爽やかに終わらせようとしている最終回に怒りを感じていた。
この作品の終盤はモノローグが少なくてキャラクターが何を考えているのかわからない。中でも年上である店長が自分の気持ちをごまかしているのは納得がいかない。
何度も言うが、私はこの作品を『恋愛漫画』として読んでいたのに、肝心の恋愛部分で嘘ばかりついている店長に対してできた大人だと思うことができない・・・。
次に加瀬。
加瀬は恋愛というか、あきらに対しての加瀬の一方的なナンパで始まり終わるのも一瞬だった。
加瀬自体は血の繋がっていない姉のことが好きで、でもそれを打ち明けるわけにもいかないし、姉は姉でだらしない人間なので、気持ちのやり場がなかったのだと思う。
その姉に恋愛感情を抱いていることを認めたくなくて、逃避であきらに近寄って行っただけの男だ。
しかしそれならそれで、恋愛漫画の役割としては火付け役兼切ない近親への想いを秘めたキャラクターとして成り立っている。
なのに!
加瀬が焚きつけても店長もあきらも特に動きなし。
加瀬自身も動きなし。
結局何のためのキャラクター設定だったの?
最終回に至っては影の薄さが半端じゃない。同情すらしてしまう・・・。
そしてユイと吉澤。
吉澤は最初あきらのことが好きな同級生として登場するけど、だんだんユイといい感じになっていく。それは読者の目から見ても明らかだった。
確かに吉澤はユイのことを明らかに意識していた。
はずなのに・・・
な!の!に!!
どうして振る!?
振ったとしてもあきらに気持ちを伝えないまま終わったけど!?
あきらに気持ちを伝えたうえでまたユイと一から恋愛を始める・・・みたいな展開もなく!?
結局吉澤って何だったの?
どういうキャラクターのつもりで作ったの?
あきらの事が好きで、ユイに好かれていて、でもどちらとも付き合う事も想いを伝えることもなく終盤は影が薄いまま終わりを迎える・・・。
えっ?!可哀想!!!
なんで!?
せめてどっちかに気持ちを伝えろよ!!
・・・と、信じられない展開ばかりでした。途中まではいい感じだっただけに本当に残念。
恋愛漫画として読んでいたこっちは誰も恋愛面で幸せになれない終わり方に、ただただ呆然とするばかりだった。
何がいけなかったのか
『恋愛漫画を謳っておいて最終的に誰もくっつかずに終わった』これに尽きる。
途中で出てきたちひろも小説家の方のあきらも、店長の離婚した嫁も息子も、
なーーーーんにも関係ない!!!
結局この人たちなんだったの?
せっかく個性的なキャラクターをそろえたのにドラマがほとんどない。
あったのは事故やコンプレックスで立ち止まったキャラクターの背中を押す、という描写だけ。
恋愛漫画を読んでいるのであって、SNSによく上がっているようなポエム漫画を読んでいるつもりはまったくなかったはずなのに・・・。
絵やキャラクター、設定は面白かっただけに非常に残念だった。
結論
正直、1巻を購入したときは本当にドキドキしたし続きが楽しみで、新刊が出る度に本屋へ足を運び購入していました。
しかし私はそれを後悔しています。
こんな結末を読むためにお金を払っていたと思うと悲しくなりました。
せめて最終回であきらが店長に対して今どんな気持ちでいるのかなどのモノローグが欲しかった・・・。
恋愛漫画として読んでいたのに、最終巻でこんな虚無に襲われたことはありませんでした。
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