繭子は、なぜ可愛く見えるのか? - イニシエーション・ラブの感想

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イニシエーション・ラブ

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繭子は、なぜ可愛く見えるのか?

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目次

繭子は、なぜ可愛く見えるのか?

この作品を観ているとき、前田敦子さん演じる成岡繭子が可愛くてたまらなかった。

だから、繭子は なぜ可愛く見えるのかを分析した。

まず、繭子をシーン別に分析する。

①コンパで、繭子と鈴木夕樹が出会うシーン。個室に入るとき、3人の女性が先に 大きな手振りで「こんばんわー」と元気な声で言う。3秒後くらいに、繭子が登場する。繭子は、「こんばんわー」と明るすぎない、前に入った3人よりも、ゆったりした落ち着いた言い方である。

洋服は、他の3人と比べ、清楚で爽やかである。

→これより、服装の違い、声の出し方の違いが、繭子を可愛く見せている。

②「指輪は彼氏からもらったの?」と聞かれる繭子。「違うんです~」心の焦りのため。早いスピードのセリフとなる。しかし、不自然ではない。

「先週、誕生日だったから自分で買ったんです」自分のペースを取り戻した。

隣の女性2人が繭子の指輪を覗いているとき、

「ええっと~、仕事は歯科助手をやっています」話をずらす。仕切り直して、新たな雰囲気を作り出す。

→これより、新たな空気を作り出すことが出来るということから、賢く見える。

③鈴木がみんなから離れ、海の家で畳の上に寝転がって目をつぶっているシーン。(鼻血が出て、鼻にティッシュを入れている)

繭子が鈴木の顔を覗き込み、「鈴木さん」と呼ぶ。鈴木は声に驚き、目を開ける。

繭子が自分の鼻を指で示し、「どうしたんですか〜?」と聞く。

→覗き込んだりと、行動が1つ1つ可愛らしい。

鈴木に「あの〜すいません。タバコ1本いただけますか?」と言いながら、さりげなく鈴木に顔を近づける。

→鈴木と一緒にいることが、すごく嬉しいということが伝わってくる。

オーバーな仕草はないけれど、手振りなどの表現が豊富で、見てて微笑ましくなる。

④鈴木が初めて繭子に電話をする。

繭子「待ってたんですよ〜」

「実は〜、鈴木さんに食事に誘ってもらいたくて…」

「あ、いや、金曜日の夜とか みんな食事行ったりしてるのに1人でご飯食べてて、なんかさみしくて…」

→食事に誘ってもらいたいことを正直に言って、相手を喜ばせている。伝え方が上手で、相手も自分も変な空気にならないような伝え方をしている。

⑤初めての2人での食事の場面。

繭子「服ですよ、服〜、もっとおしゃれな格好してもいいと思うってことですよ。きっと似合いますよ〜」

→誰かにアドバイスされるのは、嫌な気持ちになることがある。しかし、繭子の伝え方は、相手の気持ちを徹底的に配慮している。なぜか嫌な気持ちにならない。むしろ、嬉しい気持ちになってしまう。

⑥⑤の帰りの場面

繭子「そういえば〜、免許って持ってないんですか〜?」

鈴木「持ってた方がいいかな?」

繭子「う〜ん、車があれば……」

→この後、鈴木は教習所に通い始める。繭子は鈴木に、行動に移させてしまうのだ。

繭子「次は、来週の金曜日でいいですか?」

鈴木「もちろん」

繭子「じゃ〜あ〜、来週の金曜日に同じ場所で同じ時間に」

鈴木「うん、そうしよう」

繭子「ばいばい」 →去り際は、すっと別れる。繭ちゃんと、もっと一緒にいたいってなる。足りないくらいがちょうどいい。

⑦鈴木は、ファッションを勉強し、コンタクトにし、髪形を変え、努力する。

2回目の2人での食事のとき。

繭子「1週間ですごく変わりましたね」

「どう?」

鈴木「逆にどう?」

繭子「うん、その方がいいと思う」

「私は好き」

→こういうふうに言われたら、もっと頑張りたくなる。

教習所に通っていることを話すと、

「すごい!行動が早い!」手でパチパチパチ。

→こういうふうに言われたら、頑張ることは苦じゃない。

⑧鈴木が繭子に電話で告白し、その後繭子の家に行く。

繭子「さっきの、ちゃんと言って欲しいなあ。だから さっき電話で言ったこと」

鈴木「なんて言ったけ?」

繭子  ほっぺを膨らませる。

鈴木「好きです」

繭子  笑顔になる。

鈴木「繭ちゃんのことが好きです」

→「好き」という言葉をもう一度言わせる所がいい。

⑨クリスマスの日。そばにいたカップルから、あの2人釣り合ってないと言われる。

鈴木「僕がこんなんだから、繭ちゃんにも恥かかせちゃって」

繭子「な〜に言ってるの〜、たっくんはそれでいいんだよ」

鈴木「でも、かっこいいに越したことはないだろ〜」

繭子「そんな〜、今でもかっこいいよ〜。まあ少しぽっちゃりしてるけど(鈴木のお腹をツンツンしながら)ベースはいい男だから」

「う〜ん、痩せたらすっご〜くハンサムかもね」

鈴木「じゃあ、僕 繭ちゃんのために痩せるよ」

「これは僕の意志表明だから、繭ちゃんを幸せにするために」

繭子「そっか、じゃあ私も応援するね」

→繭子は、相手に目標まで与えてしまう。人を育てることが出来るのである。

⑩鈴木たつやにエアジョーダンのスニーカーをプレゼントした場面。

繭子「私〜、男の人にプレゼントってしたことないから、何買ったらいいか分かんなくて…」

鈴木たつや「なに言ってんだよ、嬉しいよ」

繭子「ちなみに〜、私の誕生日は7月2日だよ」

「誕生石は、ルビーだよ」

鈴木たくみ「ん?」

「知るか〜(イントネーション、語尾上がる)」嬉しそうに言う。

→おねだりの仕方が可愛い。

(結論)繭子は、なぜ可愛く見えるのか?

繭子は、とても純な子に見える。天然というわけではなくて、誠実なのである。

相手の気持ちを徹底的に配慮して、1つとして嫌な思いをさせない。賢いのである。

そして、相手を褒めたりして、嬉しい気持ちにさせている。やる気まで引き出してくれる。

おねだりの仕方が上手。相手に可愛くてたまらないと思わせるおねだりの仕方である。

つまり、甘えることが上手なのである。

「繭子の純さ」というのは、考え尽くされた言動から出来ている。相手の気持ちを緻密なまでに配慮するのだ。何も考えていないで、このことが出来るわけがない。

計算し尽くしているように見えるが、ずるいことは考えていない。ここが、繭子のすごい所だ。

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その後どうしたか気になる、ふたりのたっくん。

鈴木違い。出会いなんてどんなシチュエーションで訪れるかはわかりませんね。たまたま人数合わせで参加した合コンで繭子に目をつけられ、カモではないにしろ心の充足のためにあれやこれやと彼女好みに変身させられ、夕樹の方の鈴木さんこそイニシエーションラブだなあと。むしろ彼のための映画なんじゃないかとすらラストシーンを見て思いました。申し訳ないですが、松田翔太さん演じる鈴木が本当に最低男すぎて、かっこいいんですが、最後に絶望を突き付けられてざまあみろ!と少しだけスカッとしてしました。最後の最後に罪悪感からか、繭子を大切にしなかった後悔と繭子の自分への一途な愛を勝手に妄想して、都会の華やかさに目がくらんで最低男になり下がったけど、やっぱり性根はいいやつなんだと観る者のもやもやした気持ちを少し和らげておいて一気に叩き落したので、普通の恋愛映画とは一味も二味も違うという展開で好きなんですが、なんかすっきり...この感想を読む

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